障害のある子の“貯金”はいくらまで大丈夫?|給付・年金・資産管理と制度への影響

障害のあるお子さまを持つご家庭から、特に多い質問のひとつが 「この子、貯金はいくらまで持っていて大丈夫なんですか?」というものです。

結論から言うと、「いくらまでなら絶対に大丈夫」という一律の金額はありません。
なぜなら、受けている制度・将来使う制度・お金の“置き方”によって影響が変わるからです。

最初に結論

問題になるのは貯金の額そのものよりも、 ①どの制度に影響するか ②誰の名義で ③何のために置いているかです。 この3点を整理すれば、必要以上に不安になる必要はありません。


目次


1. 「貯金があるとダメ」と言われる理由

「貯金が多いと支援が受けられなくなる」と聞いて、不安になる親御さんは少なくありません。

これは一部正しく、一部誤解です。

  • ❌ すべての制度で貯金がNGになる → 誤解
  • ⭕ 一部の制度では「資産」が判断材料になる → 事実

特に混同されやすいのが、 「障害年金」と「生活保護」です。

ポイント:
障害年金や多くの福祉サービスは貯金の多寡では止まりません。 一方で、生活保護は資産要件があるため注意が必要です。


2. 制度別に見る「貯金」との関係

まずは全体像を整理しましょう。

  • 障害年金:貯金額は原則関係なし
  • 特別児童扶養手当・障害児福祉手当:所得制限あり(貯金そのものは対象外)
  • 医療費助成・障害福祉サービス:多くは所得ベース
  • 生活保護:貯金・資産が直接影響

つまり、「将来、生活保護を使う可能性があるかどうか」が、 貯金管理を考えるうえでの大きな分かれ道になります。


3. 障害年金・手当と貯金の関係

3-1. 障害基礎年金・障害厚生年金

障害年金は保険制度です。 そのため、貯金がいくらあっても支給停止にはなりません。

  • 判定基準:初診日・障害等級・保険料要件
  • 資産・貯金額:不問

「貯金が増えたら年金が止まる」という心配は、原則不要です。

3-2. 各種手当(特別児童扶養手当など)

手当系は所得制限がありますが、 これは預貯金残高ではなく、年収・所得で判断されます。

ただし、利子・配当は所得に含まれる場合があります。 多額の金融資産を運用する場合は注意が必要です。


4. 生活保護では貯金はいくらまで?

生活保護は「最低限度の生活を保障する制度」です。 そのため、利用前に使える資産は使うことが原則になります。

4-1. 明確な金額基準はある?

実は、法律上「〇〇万円まで」という全国一律の基準はありません。

実務では、次のような考え方がされます。

  • 生活費として一定期間分(数か月)は認められることが多い
  • 明らかに高額な預貯金があると減額・却下の可能性
  • 医療・将来のための合理的な目的があれば考慮される場合も
実務感覚

「〇円にならないと申請できない」わけではありません。 なぜその貯金が必要かを説明できるかが重要です。


5. 親が管理しているお金はどう見られる?

よくあるのが、「親が代わりに貯めているお金」の扱いです。

5-1. 本人名義の口座の場合

  • 原則:本人の資産と見られる
  • 生活保護などでは影響が出やすい

5-2. 親名義で管理している場合

  • 形式上は親の財産
  • ただし、使途・経緯によっては実質的に本人のためと判断されることも

「名義を変えれば大丈夫」という単純な話ではありません。 誰のためのお金か/何に使う予定かが見られます。


6. 将来に備える「正しい貯め方・置き方」

大切なのは、「貯めない」ことではなく「貯め方」です。

6-1. 目的別に分ける

  • 日常生活費:毎月使うお金
  • 突発費:医療・家電・引越など
  • 将来費:住まい・老後・施設費用

6-2. 制度を使った管理

  • 日常生活自立支援事業
  • 任意後見契約
  • 家族信託・福祉型信託

これらを使うことで、「貯金はあるが、勝手に使えない」状態をつくれます。


7. やってはいけないNGな貯金管理

  • 貯金があることを理由に支援につながらない
  • 名義だけ変えて説明できない管理
  • 目的を決めずにただ貯め続ける
  • 家族だけで判断し、専門家に相談しない

貯金は「安心材料」ですが、 置き方を間違えると支援から遠ざかる原因にもなります。


8. 家庭別モデルケース

ケース①: 障害年金+就労収入あり → 貯金は問題になりにくい

ケース②: 将来、生活保護の可能性あり → 貯金の目的整理が重要

ケース③: 親亡き後を見据える → 信託・後見と組み合わせる

「うちはどれ?」と迷ったら、制度を前提に考えるのが近道です。


9. 今すぐできる整理チェックリスト

  • どの制度を使っている/使う可能性があるか把握した
  • 貯金の目的を言葉で説明できる
  • 本人名義・親名義の資金を整理した
  • 将来の管理方法(後見・信託等)を検討した
  • 専門家・支援者に相談できる先がある

「貯金はいくらまで?」ではなく、 「どう守って、どう使うか」が本当の答えです。


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