【専門家が解説】遺言書で割合だけ指定された場合、相続財産はどう分ける?|指定相続人同士での協議の進め方
【目次】
【結論】割合指定の遺言は「包括遺贈」。具体的な財産配分は相続人同士の協議で決定
割合だけ指定された遺言の特徴
包括遺贈として扱われる理由
なぜ協議が必要なのか
遺言執行者がいるケースの実務
遺言執行者がいないケースの実務と注意点
配分協議で決めるべき内容
揉めないための配分ルール
不動産がある場合の注意点
障害のある子がいる家庭での特別な配慮
まとめ
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1|【結論】割合指定の遺言は「包括遺贈」。
遺言執行者の有無に関係なく、具体的な財産配分は協議が必須
最も大切な点を先にまとめます。
● 割合指定の遺言は「包括遺贈」
「Aに60%、Bに40%」というように、どの財産を誰が取るかまで書かれていない場合、法律上は**包括遺贈(包括受遺者)**として扱われます。
● 遺言執行者の有無に関わらず「協議が必須」
遺言書の内容は割合だけなので、
自宅・預金・株式など“個別の財産を誰が取得するか”は遺言書では決まっていません。
そのため、
相続人同士で遺産分割協議を行い、具体的な財産を決定する必要があります。
● 遺言執行者がいても配分の決定はできない
遺言執行者は“遺言の内容を実行”するだけで、
「誰がどの財産を取るか」「評価額をどうするか」は決められません。
● 遺言執行者がいない場合、相続人はすべて自分達で進める必要がある
財産調査、書類収集、協議書作成、金融機関・法務局手続きまで相続人が直接行います。
その分、手続きが重く、円滑に進めるためにはさらに丁寧な協議が必要になります。
2|割合だけ指定された遺言の特徴
「全財産の〇%」という形式
どの財産を誰が取得するかは未指定
財産の種類や金額が変動しても対応しやすい
配分は協議で決定する必要がある
遺言としてはシンプルですが、実務上は協議の必要性が高い遺言形式です。
3|なぜ「包括遺贈」として扱われるのか
民法では、
相続財産の全部または割合だけを指定する遺贈=包括遺贈と定義されます。
包括受遺者は相続人と同じ権利義務を持つため、
遺産分割協議と同じ形で話し合いをする必要があります。
4|なぜ協議が必要なのか
財産には性質の違いがあります。
分割しにくい(不動産)
金額が変動する(株式)
名義手続きが複雑(保険金)
60%・40%という割合ですべて承継する場合にはいいのですが、現実的に不動産や共有にすることで面倒が増えることがあります。その場合には、
現実の財産をどう分けるかは相続人の合意が不可欠です。
5|遺言執行者がいるケースの実務
● 遺言執行者ができること
財産調査
名義変更の実行
戸籍収集
金融機関手続き
遺言内容の執行全般
● 遺言執行者ができないこと
財産の配分を決める
代償金の額を決める
相続人の意見を無視して配分の判断をする
相続人同士の意見調整を強制する
● 遺言執行者がいるケースの一般的な流れ
財産調査
目録の作成
相続人へ説明
相続人同士の協議
協議の内容に基づき手続きを実行
6|遺言執行者がいないケースの実務と注意点
遺言執行者が指定されていない相続は珍しくありません。
しかし、実務は大幅に負担が増えます。
● 相続人がすべての手続きの主体
財産調査(銀行・証券会社・法務局など)
取引履歴の取得
戸籍・除籍の収集
遺産目録の作成
協議の開催
名義変更の申請
代償金の支払
すべて相続人が担う必要があります。
● 相続人の誰かが「実質的なリーダー」になる
遺言執行者がいない場合、
一番動ける相続人が“事実上の事務担当”になります。
ただしその際、
「勝手にやっている」
「有利な情報だけ出している」
という不信感が生まれやすいのが大きなデメリットです。
● 手続きが停滞しやすい
誰が動くのか決まらない
情報共有が遅れる
日程調整が進まない
書類の抜け漏れが出る
とくに財産が多い家庭では手続きが長期化します。
● 協議の難易度が上がる
遺言執行者がいないと中立的な立場の人が不在のため、
感情的な対立が起きやすい特徴があります。
● 専門家に依頼されることが多いケース
相続人同士の関係が微妙
不動産が複数ある
事業用資産がある
障害のある相続人がいる
相続税の申告も必要
このような場合は、早期に専門家を補助役として入れる方がトラブルを防げます。
7|配分協議で決めるべき内容
各財産を誰が取得するか
評価額の決め方(路線価・不動産査定・預金残高など)
代償金の要否
税負担の調整
手続き担当者の決定
8|揉めないための配分ルール
財産の評価は第三者が行う
不動産は複数案を比較
感情ではなく数字で判断
代償金の支払期限・方法を明記
必要に応じて専門家を関与させる
9|不動産がある場合の注意点
不動産は価値も使い方も相続人で意見が分かれやすい財産です。
売却か?共有か?単独取得か?
賃貸中なら収益は?
固定資産税の負担は?
評価額が一致しない問題
不動産が複数ある場合ほど協議は困難です。
10|障害のある子がいる家庭での特別な配慮
障害のある相続人がいる場合は、
財産の配分だけでなく 生活の継続性 を最優先に考える必要があります。
成年後見
任意後見
家族信託
死後事務委任契約
生活費の確保
住まいの確保
配慮すべき観点が増えるため、協議の難易度も高くなります。
11|まとめ
割合指定の遺言=包括遺贈
具体的な財産配分は協議が必須
遺言執行者がいても配分を決めることはできない
遺言執行者がいない場合は相続人がすべて手続きを担う
不動産がある場合や障害のある相続人がいる場合は特に慎重に
協議がまとまらないと手続きは長期化するため、早めの準備が重要
【お問い合わせ】
障害を持つ子どもの親亡き後を支える会
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