【専門家が解説】遺言書で割合だけ指定された場合、相続財産はどう分ける?|指定相続人同士での協議の進め方

【目次】

  1. 【結論】割合指定の遺言は「包括遺贈」。具体的な財産配分は相続人同士の協議で決定

  2. 割合だけ指定された遺言の特徴

  3. 包括遺贈として扱われる理由

  4. なぜ協議が必要なのか

  5. 遺言執行者がいるケースの実務

  6. 遺言執行者がいないケースの実務と注意点

  7. 配分協議で決めるべき内容

  8. 揉めないための配分ルール

  9. 不動産がある場合の注意点

  10. 障害のある子がいる家庭での特別な配慮

  11. まとめ

  12. お問い合わせ


1|【結論】割合指定の遺言は「包括遺贈」。

遺言執行者の有無に関係なく、具体的な財産配分は協議が必須

最も大切な点を先にまとめます。

● 割合指定の遺言は「包括遺贈」

「Aに60%、Bに40%」というように、どの財産を誰が取るかまで書かれていない場合、法律上は**包括遺贈(包括受遺者)**として扱われます。

● 遺言執行者の有無に関わらず「協議が必須」

遺言書の内容は割合だけなので、
自宅・預金・株式など“個別の財産を誰が取得するか”は遺言書では決まっていません。

そのため、
相続人同士で遺産分割協議を行い、具体的な財産を決定する必要があります。

● 遺言執行者がいても配分の決定はできない

遺言執行者は“遺言の内容を実行”するだけで、
「誰がどの財産を取るか」「評価額をどうするか」は決められません。

● 遺言執行者がいない場合、相続人はすべて自分達で進める必要がある

財産調査、書類収集、協議書作成、金融機関・法務局手続きまで相続人が直接行います。
その分、手続きが重く、円滑に進めるためにはさらに丁寧な協議が必要になります。


2|割合だけ指定された遺言の特徴

  • 「全財産の〇%」という形式

  • どの財産を誰が取得するかは未指定

  • 財産の種類や金額が変動しても対応しやすい

  • 配分は協議で決定する必要がある

遺言としてはシンプルですが、実務上は協議の必要性が高い遺言形式です。


3|なぜ「包括遺贈」として扱われるのか

民法では、
相続財産の全部または割合だけを指定する遺贈=包括遺贈と定義されます。

包括受遺者は相続人と同じ権利義務を持つため、
遺産分割協議と同じ形で話し合いをする必要があります。


4|なぜ協議が必要なのか

財産には性質の違いがあります。

  • 分割しにくい(不動産)

  • 金額が変動する(株式)

  • 名義手続きが複雑(保険金)

60%・40%という割合ですべて承継する場合にはいいのですが、現実的に不動産や共有にすることで面倒が増えることがあります。その場合には、
現実の財産をどう分けるかは相続人の合意が不可欠です。


5|遺言執行者がいるケースの実務

● 遺言執行者ができること

  • 財産調査

  • 名義変更の実行

  • 戸籍収集

  • 金融機関手続き

  • 遺言内容の執行全般

● 遺言執行者ができないこと

  • 財産の配分を決める

  • 代償金の額を決める

  • 相続人の意見を無視して配分の判断をする

  • 相続人同士の意見調整を強制する

● 遺言執行者がいるケースの一般的な流れ

  1. 財産調査

  2. 目録の作成

  3. 相続人へ説明

  4. 相続人同士の協議

  5. 協議の内容に基づき手続きを実行


6|遺言執行者がいないケースの実務と注意点

遺言執行者が指定されていない相続は珍しくありません。
しかし、実務は大幅に負担が増えます。

● 相続人がすべての手続きの主体

  • 財産調査(銀行・証券会社・法務局など)

  • 取引履歴の取得

  • 戸籍・除籍の収集

  • 遺産目録の作成

  • 協議の開催

  • 名義変更の申請

  • 代償金の支払
    すべて相続人が担う必要があります。

● 相続人の誰かが「実質的なリーダー」になる

遺言執行者がいない場合、
一番動ける相続人が“事実上の事務担当”になります。

ただしその際、
「勝手にやっている」
「有利な情報だけ出している」
という不信感が生まれやすいのが大きなデメリットです。

● 手続きが停滞しやすい

  • 誰が動くのか決まらない

  • 情報共有が遅れる

  • 日程調整が進まない

  • 書類の抜け漏れが出る

とくに財産が多い家庭では手続きが長期化します。

● 協議の難易度が上がる

遺言執行者がいないと中立的な立場の人が不在のため、
感情的な対立が起きやすい特徴があります。

● 専門家に依頼されることが多いケース

  • 相続人同士の関係が微妙

  • 不動産が複数ある

  • 事業用資産がある

  • 障害のある相続人がいる

  • 相続税の申告も必要
    このような場合は、早期に専門家を補助役として入れる方がトラブルを防げます。


7|配分協議で決めるべき内容

  • 各財産を誰が取得するか

  • 評価額の決め方(路線価・不動産査定・預金残高など)

  • 代償金の要否

  • 税負担の調整

  • 手続き担当者の決定


8|揉めないための配分ルール

  • 財産の評価は第三者が行う

  • 不動産は複数案を比較

  • 感情ではなく数字で判断

  • 代償金の支払期限・方法を明記

  • 必要に応じて専門家を関与させる


9|不動産がある場合の注意点

不動産は価値も使い方も相続人で意見が分かれやすい財産です。

  • 売却か?共有か?単独取得か?

  • 賃貸中なら収益は?

  • 固定資産税の負担は?

  • 評価額が一致しない問題

不動産が複数ある場合ほど協議は困難です。


10|障害のある子がいる家庭での特別な配慮

障害のある相続人がいる場合は、
財産の配分だけでなく 生活の継続性 を最優先に考える必要があります。

  • 成年後見

  • 任意後見

  • 家族信託

  • 死後事務委任契約

  • 生活費の確保

  • 住まいの確保

配慮すべき観点が増えるため、協議の難易度も高くなります。


11|まとめ

  • 割合指定の遺言=包括遺贈

  • 具体的な財産配分は協議が必須

  • 遺言執行者がいても配分を決めることはできない

  • 遺言執行者がいない場合は相続人がすべて手続きを担う

  • 不動産がある場合や障害のある相続人がいる場合は特に慎重に

  • 協議がまとまらないと手続きは長期化するため、早めの準備が重要


【お問い合わせ】

障害を持つ子どもの親亡き後を支える会
〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町3-3-5 6階605

〒231-0032
神奈川県横浜市中区不老町1-6-9 第一HBビル8階A
TEL:0120-905-336

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