【初心者向け】「福祉信託」を使うとどう変わる?特定贈与信託・後見制度支援信託の仕組みと選び方をやさしく解説

目次

  1. 福祉信託とは?まず押さえたい基本

  2. 代表的な福祉信託①:特定贈与信託

  3. 代表的な福祉信託②:後見制度支援信託

  4. 2つの信託はどう違う?メリット・デメリット比較

  5. どんな家庭・どんな場面に向いているのか

  6. 利用するときの注意点(必ず確認すべきポイント)

  7. まとめ──親亡き後の安心をどう「制度」によって確保するか

  8. 📞 ご相談はこちら
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1. 福祉信託とは?まず押さえたい基本

福祉信託(ふくししんたく) とは、
高齢者や障害のある方の生活を安定させ、将来の福祉を保障するために、
信託銀行・信託会社などの専門機関に財産を預けて管理・運用してもらう仕組みです。

▼登場人物は3人

  1. 委託者(お金を託す人):親・家族・本人

  2. 受託者(お金を管理する人):信託銀行・信託会社

  3. 受益者(お金を受け取る人):障害のある子、認知症の親など

信託銀行が契約に従って、

  • 毎月の生活費

  • 医療費や介護費用

  • 施設利用料

を、受益者に代わって計画的に支出します。

▼福祉信託が必要とされる理由

  • 親亡き後に、子どもが自分でお金を管理できない

  • 認知症の親が詐欺に遭う可能性がある

  • 親族トラブルや使い込みを防ぎたい

  • お金を「生活に必要な分だけ」確実に使ってもらいたい

こうしたニーズから、近年利用が増えています。


2. 代表的な福祉信託①:特定贈与信託

― 障害のある子へ、非課税で生活資金を残せる信託 ―

特定贈与信託 は、障害のある人にまとまった資金を残したい場合に使える“税制優遇つきの福祉信託”です。

▼対象となる障害のある方

  • 特別障害者(重度障害)

  • 特定障害者(中軽度の知的障害・精神障害など)

▼大きなメリット:贈与税が非課税になる

対象非課税枠特別障害者6,000万円特定障害者3,000万円

※日本の贈与税の中で最大級の非課税制度です。

▼仕組み

  1. 親(委託者)が信託銀行にまとまった財産を預ける

  2. 信託銀行が契約内容に合わせて運用・管理

  3. 本人(受益者)に生活費・医療費などを定期的に支給

➡︎ 親が亡くなった後も契約は継続するため、長期的な生活保障につながります。

▼こんな方に向いている

  • 障害のある子へ「将来の生活費」を確実に残したい

  • 相続ではなく“生前に”仕組みを整えておきたい

  • 税金の負担を極力減らしたい


3. 代表的な福祉信託②:後見制度支援信託

― 認知症対策として家庭裁判所が利用を指示する信託 ―

後見制度支援信託 は、
成年後見制度を利用している人の財産を安全に守るための仕組みです。

▼目的はズバリ「財産の使い込み防止」

後見人が本人の財産を管理しますが、
その中で「使い込み・横領」のトラブルが全国的に起きています。

そのため、

  • 日常の生活費は後見人が管理

  • まとまった預金や不動産売却代金は信託銀行で保護

という2段構えで財産を守る仕組みが整えられました。

▼引き出しには家庭裁判所の指示が必要

信託銀行から大きなお金を引き出す場合は、

必ず「家庭裁判所の指示書」が必要

になります。

➡︎ これにより、本人の財産が強固に保護されます。

▼こんな場合に向いている

  • 認知症になった親の財産管理が心配

  • 親族間トラブル・後見人の横領を確実に防ぎたい

  • 大きなお金は触られないようにしたい


4. 2つの信託はどう違う?メリット・デメリット比較

▼目的の違い

制度主な目的特定贈与信託障害のある子の「将来の生活費」を非課税で確保後見制度支援信託認知症などで判断能力が低下した方の「財産保護」

▼メリットの違い

  • 特定贈与信託:非課税枠が非常に大きい

  • 後見制度支援信託:家庭裁判所が関与して財産を強固に保護

▼デメリット

  • 手数料がかかる(どちらも)

  • 途中解約が難しい

  • 運用商品にすると元本割れの可能性がある


5. どんな家庭・どんな場面に向いているのか

●ケース1:障害のある子がいる家庭

➡︎ 特定贈与信託が最有力。
将来の生活費を非課税で確保できるため、親亡き後の不安が大きく減ります。

●ケース2:認知症の親を支えている家庭

➡︎ 後見制度支援信託で財産管理を安全に。

「後見制度と信託の併用」が、現在もっとも安全な財産保護の方法です。

●ケース3:親族間トラブルを避けたい家庭

➡︎ 透明性の高い信託管理は非常に有効
銀行が管理するため「誰かが勝手に使った」という事態が起こりません。


6. 利用するときの注意点(必ず確認すべきポイント)

(1)信託銀行ごとに取り扱い条件が違う

  • 最低預け入れ額

  • 手数料

  • 引き出し条件

など、かなり幅があります。

(2)受益者の生活イメージを明確にしておく

信託の設計には、

  • 生活費

  • 介護・医療費

  • 施設利用費

などの将来予測が必要です。

(3)成年後見制度との関係を整理しておく

後見人がつく予定がある場合は、
「どこからどこまで後見人が担当し、信託が担当するか」
を明確にする必要があります。

(4)途中で契約を変更できないことがある

信託は一度契約すると、親の都合では解約が難しいため、
事前のシミュレーションが極めて重要です。


7. まとめ──親亡き後の安心を、どう制度でつくるか

特定贈与信託と後見制度支援信託は、どちらも

「弱い立場にある人の生活を守り、財産を安全に管理する」

ための制度です。

  • 障害のある子の将来を守りたい

  • 認知症の親の財産が心配

  • きょうだい間の不公平を避けたい

  • 詐欺・使い込みのリスクを回避したい

こうした家庭にとって、福祉信託は強力な選択肢になります。

信託は複雑に見えますが、
正しく設計すれば「親亡き後の不安」を大きく減らすことができます。


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