【初心者向け】障害を持つ子どもの「親亡き後」の住まい・施設選び

どこで、誰と、どう暮らす? 基本の選択肢と費用をやさしく解説

目次

  1. 親亡き後に「住まいの問題」が最も不安視される理由

  2. 障害のある子が利用できる住まい・施設の種類

  3. それぞれの施設の特徴・費用・向いているケース

  4. 親が元気なうちに絶対に準備しておくべきこと

  5. 「親亡き後の住まい」はどのように決まるのか

  6. 親が亡くなった直後に必要となる支援体制

  7. 住まい選びのポイント(チェックリストつき)

  8. まとめ──住まいの安心が、「親亡き後の安心」につながる

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1. 親亡き後に「住まいの問題」が最も不安視される理由

障害のある子を育てる親にとって、
「親がいなくなった後、この子はどこで生活するのか?」
という住まいの問題は、最も大きな不安材料です。

実際、多くの親御さんが次のような悩みを抱えています。

  • ひとりで生活できるのか

  • きょうだいに負担をかけすぎないか

  • グループホームの空きが少なくて入れないのでは

  • 今のデイサービスが永続できるわけではない

  • そもそも親亡き後、誰が生活の面倒を見るのか

国も自治体も対策を進めていますが、
すぐに「希望の施設に入れる」わけではありません。

そのため、早めに住まいの選択肢を知っておき、準備することが大切 です。


2. 障害のある子が利用できる住まい・施設の種類

障害のある方の主な住まい・生活支援の場所は次のとおりです。

▼主な住まいの選択肢

  1. グループホーム(共同生活援助)

  2. 障害者支援施設(入所施設)

  3. 自宅での単身生活(重度訪問介護などの利用)

  4. 親族のもとでの同居

  5. 民間の障害者向け住宅サービス(見守り付き賃貸など)

それぞれにメリット・デメリットがあり、
本人の障害の種類・程度、必要な支援量で適した選択が変わります。


3. それぞれの施設の特徴・費用・向いているケース

① グループホーム(共同生活援助)

もっとも利用者が多く、地域生活の中心的役割を担う住まいです。

▼特徴

  • 一軒家やアパートで数名の利用者が生活

  • 生活支援員が常駐し、食事・家事・服薬・金銭管理をサポート

  • 日中は就労継続支援や生活介護に通う人も多い

▼費用の目安

  • 家賃:2〜4万円(家賃補助あり)

  • 食費:2〜3万円

  • 共益費・水道光熱費:1〜2万円

  • 生活支援費:1〜2万円(給付を利用)

➡︎ 実費で月4〜8万円ほどが目安。

▼向いているケース

  • 軽度〜中度の知的障害・精神障害がある

  • 単身生活が不安

  • 見守りは必要だが、施設ほどの強度は不要

② 障害者支援施設(入所施設)

生活全般の介護と医療的な支援が必要な方のための施設。

▼特徴

  • 24時間体制で支援員が対応

  • 医療・介護のサポートが厚い

  • グループホームより入居枠が少なく競争倍率が高い

▼費用の目安

  • 月7〜12万円ほど
     (所得に応じて「負担上限月額」が決まるため大きく変わる)

▼向いているケース

  • 重度の知的障害・身体障害

  • 医療的ケアが必要

  • 単身生活やグループホームが難しい

③ 自宅での単独生活(訪問系サービス利用)

在宅のまま、支援者が訪問して暮らす方法。

▼利用するサービス例

  • 重度訪問介護

  • 居宅介護(ヘルパー)

  • 移動支援

▼生活イメージ

「一人暮らし+手厚い訪問支援」に近い形。

▼向いているケース

  • 身体面は自立している

  • 生活スキルが高い

  • 自宅で暮らしたい意思が強い

④ 親族との同居

親族が強い責任感をもつケースもあります。

▼メリット

  • 精神的に安心

  • サポートを柔軟に受けられる

  • 経済負担を抑えられる

▼デメリット

  • きょうだいの負担が大きくなる

  • 長期的には維持が難しくなることも

⑤ 障害者向け民間サービス(見守り付き賃貸など)

近年増加している民間の住まいの選択肢。

▼特徴

  • 24時間の見守り

  • 食事提供

  • 障害福祉サービスとの連携

  • 大手法人が参入しており安心感が高い

費用はやや高めですが、グループホームに空きがない場合の代替手段 として注目されています。


4. 親が元気なうちに絶対に準備しておくべきこと

(1)本人がどの程度の生活力を持っているか把握する

  • 食事

  • 入浴

  • 金銭管理

  • 服薬

  • 外出支援

これらをチェックしておくと、将来必要な支援量が見えます。

(2)施設を見学し、候補を複数持っておく

グループホームは「空いていれば入れる」ものではなく、
5年以上待つケースもある のが現実です。

➡︎ 早めの見学・相談は必須。

(3)親自身の死後の対応を準備しておく

  • 死後事務委任契約

  • 任意後見契約

  • 遺言書(財産分配の明確化)

  • 信託の利用(生活費の確保)

住まいの選択は、これらの制度設計とセットで考える必要があります。


5. 「親亡き後の住まい」はどのように決まるのか

親が亡くなった直後、本人の生活場所は次の2つの要素で決まります。

① 行政の支援計画(障害福祉計画)

市区町村の障害福祉担当課が中心となり、
本人の障害状況・必要なサービスを踏まえて住まいを検討します。

② 親が残した準備・情報

  • 本人の特性

  • これまでの生活習慣

  • 好きなこと・苦手なこと

  • 利用中のサービス

これらの情報がないと、行政は適切な住まいを選びにくくなります。

➡︎ 「親のエンディングノート」や「支援記録」を残しておくことが必須 です。


6. 親が亡くなった直後に必要となる支援体制

●(1)緊急対応(48時間以内)

  • 親族・支援者・行政が連携

  • 一時的なショートステイ利用など

●(2)中期対応(1週間〜1ヶ月)

  • 今後の生活場所の仮決定

  • グループホーム入所調整

  • 医療・福祉サービスの確保

●(3)長期対応

  • 本人が安心して暮らせる住まいの確保

  • 支援計画の見直し

➡︎ 住まいが安定すると、就労や日中活動も安定するため、
生活全体が整う最重要ポイント になります。


7. 住まい選びのポイント(チェックリスト)

▼本人の特性

  • コミュニケーションが得意?苦手?

  • パニック・暴力行動の有無

  • 医療的ケアの必要性

▼生活力

  • 金銭管理はどの程度できる?

  • 調理や掃除は?

  • 薬の管理は?

▼環境

  • 通っている施設との距離

  • 安心して暮らせる地域か

  • 移動支援の手配は可能か

▼家族の希望

  • 将来どこで暮らしてほしいか

  • きょうだいが支える範囲はどこまでか

  • 財産の管理方法(信託・後見など)

これらを整理すると、
どの施設が本人に合っているか明確になります。


8. まとめ──住まいの安心が、「親亡き後の安心」につながる

障害を持つ子の親亡き後を考えるとき、
もっとも重要なのは 「どこで生活するか」 です。

  • グループホーム

  • 入所施設

  • 自立生活

  • 親族の支援

  • 民間サービス

選択肢は多いですが、
準備を始めるのは早ければ早いほど良い という点は共通しています。

親が健在なうちに見学し、制度を理解し、
財産管理や生活費の確保(信託・後見など)も整えておくことで、
本人の安心と生活の質は大きく変わります。

一緒に、最善の住まいの形を考えていきましょう。


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