【特集】相続・贈与で必ず出てくる「事業承継税制」とは?

─ これだけ読めば概要とメリット・特例がわかる完全ガイド

【目次】

  1. 事業承継税制とは?

  2. なぜ税制が必要なのか(背景と問題点)

  3. 事業承継税制の対象になる会社

  4. 誰がこの制度を使えるのか(対象株主と後継者)

  5. 相続で使う場合の税制(相続税の猶予)

  6. 贈与で使う場合の税制(贈与税の猶予)

  7. 税金が“免除”になるケース

  8. この制度のメリット

  9. 知らないと危険!デメリット・制度利用の注意点

  10. 必要な手続き(事前確認・認定申請・継続届出など)

  11. 特例事業承継税制とは?(一般制度との違い)

  12. よくある誤解とQ&A

  13. まとめ

  14. 📞 ご相談はこちら
      ☎ 0120-905-336


1|事業承継税制とは?

事業承継税制とは、
会社の株式を相続や贈与で後継者へ引き継ぐときの「相続税・贈与税」を猶予し、最終的に免除される可能性のある制度です。

中小企業にとって、株式の相続税・贈与税は莫大な負担となるため、
後継者が資金難にならないよう、国が税負担を軽減する仕組みとして導入されました。

国税庁の案内はこちら:
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm


2|なぜ税制が必要なのか(背景と問題点)

中小企業では、
経営者の高齢化後継者不足 が深刻な課題です。

特に株式の相続税は、
数千万円〜数億円になるケースもあり、
「会社は黒字なのに、相続税のせいで継ぎたくても継げない」
という事態も実際に発生しています。

これを防ぐために作られたのが 事業承継税制 です。


3|事業承継税制の対象になる会社

すべての会社が対象ではありません。

■対象となるのは

  • 中小企業基本法に定める中小企業

  • 上場会社は対象外

  • 資本金3億円以下など条件あり

  • 資産管理会社(不動産賃貸のみ等)は対象外の可能性あり

事業承継税制は
“中小企業の経営に継続性があること”
が前提です。


4|誰がこの制度を使えるのか(対象株主と後継者)

事前に知っておくべき重要ポイントです。

■後継者の条件

  • 会社の代表者になること

  • 先代経営者が代表を辞任していること

  • 議決権株式の「過半数」を承継すること

  • 市区町村の認定を受けること(認定支援機関の確認が必要)

■先代経営者の条件

  • 会社の代表者であること

  • 議決権総数の50%超を保有していること

“いとこ”“兄弟”“親族外”での承継も制度上は可能。
ただし自治体の判断により認定の難易度が変わることがあります。


5|相続で使う場合の税制(相続税の猶予)

相続で株式を受け継ぐ場合、
通常は相続税が発生しますが、事業承継税制を使うことで

■相続税の100%が猶予

(=支払う必要が一旦なくなる)

さらに条件を満たせば
最終的に“免除”される可能性もあります。

条件の一例:

  • 会社を一定期間継続して経営する

  • 雇用を維持する(実質的に緩和済み)

  • 提出書類を継続して管理

  • 後継者が代表を続けている


6|贈与で使う場合の税制(贈与税の猶予)

生前に株式を後継者へ移す場合にも制度が使えます。

■贈与税も100%猶予

(通常の贈与税は非常に高額)

相続より贈与が好まれるケースも多いです。
理由は、後継者を早めに経営に慣れさせられるから。

ただし、相続と違い、

●代表権の移転が必須

●自治体の認定が必須
●生前贈与のタイミングが重要

など、手続きがより複雑です。


7|税金が“免除”になるケース

猶予された税金は、以下の条件を満たした場合に「免除」されます。

■免除の主な条件

  • 後継者が死亡

  • 会社が廃業

  • 所定期間を満了

  • 後継者が株式を返納(みなし贈与)

要点としては
「会社の経営を一定期間きちんと継続する」
ということです。


8|この制度のメリット

●メリット1:相続税・贈与税が実質ゼロに

中小企業にとって最大のメリット。

●メリット2:後継者が資金難にならない

株式の相続税は通常莫大ですが、それが避けられる。

●メリット3:生前贈与にも使える

早期承継で経営が安定。

●メリット4:雇用守れなくても“必ずアウトではない”

以前より柔軟になり利用しやすい制度に。


9|知らないと危険!デメリット・制度利用の注意点

1)手続きが非常に複雑

税理士・行政書士・認定支援機関との連携が必須。

2)書類提出を怠ると猶予取消 → 一括納付

多額になるため非常に危険。

3)対象外の会社も多い

資産管理会社は特に注意。

4)後継者の要件が厳しい

代表権を持つこと、議決権の過半数など。

5)途中で辞任するとアウトの可能性

計画的に進める必要がある。


10|必要な手続き(事前確認・認定申請・継続届出など)

この制度は
「申請すれば誰でも使える」ものではありません。

■ステップ1:事前確認

認定支援機関(商工会議所・税理士など)が書類確認。

■ステップ2:市区町村へ認定申請

後継者・先代・会社情報を提出。

■ステップ3:株式の承継(相続または贈与)

■ステップ4:県(都道府県)への申請

■ステップ5:税務署への猶予申請

■ステップ6:継続届出書の提出

毎年の提出が必要。


11|特例事業承継税制とは?(一般制度との違い)

現在、事業承継税制には
「一般制度」と「特例制度」 の2種類があります。

特例制度は、期間限定で大幅に拡充されたもので
通常より使いやすい内容です。

■特例制度の主なポイント

  • 相続税・贈与税が 100%猶予

  • 対象株式が最大 100%

  • 雇用要件が実質撤廃

  • 複数後継者も可能

特例制度は2027年までに計画提出が必要(※法律改正により変動可能性あり)。

この制度を使うことで、
後継者への資金負担はほぼゼロにできるといえます。


12|よくある誤解とQ&A

Q1. 納税が免除されるって本当?

→ 条件を満たせば最終的に免除される。
ただし途中で条件違反があると猶予取消。

Q2. 赤字会社でも使える?

→ 可能。黒字かどうかは無関係。

Q3. 親族外承継(社長の右腕など)も対象?

→ 認定基準を満たせば可能。

Q4. 資産管理会社は?

→ 事業実態によっては対象外になるため要注意。

Q5. 途中で株式を売却したら?

→ 原則アウト。猶予取消 → 一括納付。


13|まとめ

事業承継税制は、
中小企業が“事業を後世へつなぐ”ための非常に強力な制度です。

しかし、

  • 手続きの複雑さ

  • 継続管理の厳しさ

  • 書類不備によるリスク

など、専門家なしでの利用は難易度が高いのも事実です。

適切に使えば、
相続税・贈与税の負担を大幅に軽減できる
中小企業にとって欠かせない制度となります。

事業承継は、
経営者が元気なうちから準備を始めることが成功の鍵です。


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