【徹底解説】親亡き後に必要な「成年後見の種類と選び方」
■はじめに
障がいのある子が社会で生活していくうえで、
お金の管理や契約を誰がサポートするのか は最も重要なテーマです。
そこで欠かせないのが 「成年後見制度」。
でも実は、
法定後見と任意後見って何が違う?
どっちを選べばいいの?
親亡き後に最適なのは?
と迷う家庭が非常に多いです。
この記事では、制度の違い・選び方・注意点を“行政書士の実務視点”で徹底解説します。
■成年後見制度の全体像
成年後見は大きく2種類。
法定後見(今すぐ必要な場合)
任意後見(将来に備える契約)
この違いを理解すると、選択が一気に分かりやすくなります。
① 法定後見(判断能力が低下してから使う制度)
■どんな制度?
本人の判断能力が低下した後に、家庭裁判所が後見人を選任する制度。
▼3つの類型
後見(重度)
保佐(中程度)
補助(軽度)
▼メリット
裁判所が選任するため、法的に強い
財産管理・契約が確実に保護される
本人の利益が最優先で運用される
▼デメリット
親が「後見人になってほしい人」を指定できない
裁判所のチェックが強い
毎年の報告義務が重い
財産の柔軟な使い方(信託など)がしづらい
▼結論
判断能力が下がってから使う制度。
親亡き後の“緊急避難的な役割”としては強いが、柔軟性には乏しい。
② 任意後見(判断能力があるうちに作る「契約」)
■どんな制度?
本人が元気なうちに
「将来、誰に何を任せるか」 を契約で決めておく制度。
▼メリット
親が信頼できる人を「任意後見人」として指定できる
財産管理の内容を細かく決められる
信託・遺言とあわせて設計しやすい
柔軟で“親亡き後の生活設計に向いている”
▼デメリット
契約をしても、発動は“本人の判断能力が下がったとき”
監督人がつくため費用がかかる
必ずしも親族が選ばれるわけではない
▼結論
親亡き後に向けた“準備段階”で作る制度として最適。
■親亡き後に向いている後見はどっち?
結論:
親亡き後の“生活設計”には 任意後見 × 信託 × 遺言 の組み合わせが最強。
理由は3つ。
親が「管理してほしい人」を指名できる
財産の使い方を細かく決められる
将来、法定後見に移行してもスムーズ
ただし、
判断能力がすでに低下している場合は 法定後見一択 になります。
■後見制度を選ぶための3ステップ
① 本人の判断能力の現状を確認
(医師の所見が役立つ)
② 財産と支援者を棚卸し
・お金の管理を誰に任せたいか
・家族構成
・信頼できる支援者の有無
③ 将来の生活設計(親亡き後)を決める
・どこで暮らすか
・生活費はいくら必要か
・誰が支えるか
この3つを整理すると、自然と最適な制度が見えてきます。
■おわりに
成年後見は、制度の理解だけでは不十分で、
家庭ごとの状況に合わせた“オーダーメイド設計”が必須です。
本会では、
法定後見の申し立て支援
任意後見契約の設計
親亡き後の生活支援計画
まで総合的にサポートしています。
後見は「いつかやろう」ではなく、
「親が元気なうちに考えること」 が成功のカギです。