親亡き後の“住まい×お金×支援者”の最適解|家族ごとに違う設計パターンを図解
「親亡き後」を考えるとき、よくある失敗は住まいだけ、あるいはお金だけを先に決めてしまうことです。
実務では、住まい×お金×支援者をセットで設計すると、将来の不安が“具体的な段取り”に変わり、家族内の合意も取りやすくなります。
・最適解は「一つ」ではなく、家族ごとに設計パターンが違う
・判断の軸は、①本人の特性 ②親の体力・年齢 ③支援者の有無 ④お金の管理難易度
・先に「住まい」を決めるより、まず支援者(誰が何を担うか)を言語化すると全体が整う
目次
1. 住まい×お金×支援者を「同時に」考える理由
親亡き後の不安は、実は次の3つが絡み合って起きます。
- 住まい:どこで、誰と、どんな支援を受けながら暮らすか
- お金:生活費をどう確保し、どう管理し、どう支払うか
- 支援者:誰が“判断”と“手続き”を担うか(家族/相談支援/専門職)
住まいを先に決めても、支援者が不在だと契約や更新で止まります。
お金だけ残しても、管理が崩れると未払い・詐欺・浪費で生活が不安定になります。
だからこそ、3要素を「一枚の設計図」にしておくことが、実務では最短ルートです。
2. まずは全体像の図解:3要素の関係
「住まいは決めたのに、契約や更新の“署名・同意”ができない」
「年金はあるのに、支払いが回らず滞納が増える」
この2つは、支援者設計が抜けていると起きやすい典型例です。
3. 5つの設計パターン(家族ごとの最適解)
向いているご家庭:共同生活に適応しやすい/日中活動がある/一人暮らしは不安
住まい:グループホーム(必要に応じて短期入所を併用)
お金:障害年金+手当をベースに、家賃・食費・日用品の支払いを自動化
支援者:相談支援+家族(見守り)+必要に応じて後見・信託
- 見学・体験利用を早めに始めると選択肢が増える
- 金銭管理は「本人の財布」と「支払い口座」を分けると安定する
向いているご家庭:常時支援が必要/夜間対応が不安/医療連携が重要
住まい:入所施設(地域差により待機期間が長いことも)
お金:年金を中心に施設費用を優先配分、突発支出の予備費を確保
支援者:家族+相談支援に加え、契約・財産管理の担い手を明確化
- 「緊急で探す」ほど条件が合わないリスクが上がる
- 入所中も、医療・面会・支払いなど“家族の役割”は残るため分担設計が重要
向いているご家庭:生活ルーティンがある/支援を受け入れられる/緊急連絡が整えられる
住まい:賃貸・公営住宅など+訪問支援・見守りサービス
お金:家賃・光熱費は自動引落、本人は少額管理、通帳は支援側が管理
支援者:相談支援+支援員+緊急連絡先(最終判断者)を固定
- 成功の鍵は「緊急時の判断者」と「鍵・連絡手段」を事前に決めること
- 詐欺・浪費対策として、口座の役割分担(生活口座/貯蓄口座)を作る
向いているご家庭:きょうだいが協力的/距離・時間が確保できる/役割を限定できる
住まい:GH・一人暮らしなど(同居が唯一解とは限らない)
お金:きょうだいが直接管理しない仕組み(後見・信託・支援口座)で負担を軽減
支援者:きょうだいは「見守り・最終確認」、日常は福祉と専門職へ
- きょうだいが“全部やる”設計は、長期で破綻しやすい
- 役割は「頻度」「緊急時」「費用負担」を文章化しておくと揉めにくい
向いているご家庭:親族が少ない/遠方/関与が期待しにくい
住まい:GH・施設・見守り付き一人暮らしを前提に「継続性」で選ぶ
お金:信託・後見・支援制度を組み合わせ、支払いと管理を“人に依存しない”形に
支援者:相談支援+専門職(後見・信託)+緊急連絡の仕組みを多重化
- 「誰が契約するか」「誰が更新するか」を先に決めるほど安定する
- 死後事務(葬儀・役所・支払い)も同時に検討すると穴が減る
4. パターンを決める4つの診断ポイント
「どれが最適か」を決めるとき、次の4点を整理すると迷いが減ります。
- ① 本人の特性:対人関係、環境変化への耐性、服薬・通院の自己管理
- ② 親の支援可能年数:体力・健康・介護の可能性を含めて現実的に見積もる
- ③ 支援者の有無:きょうだい・親族・相談支援・事業所との関係性
- ④ お金の管理難易度:浪費・詐欺リスク、支払い漏れ、契約理解の可否
「住まいが決まらない」ときは、住まいの比較ではなく、
④お金の管理難易度と③支援者の有無から逆算すると決まりやすいです。
5. 迷いやすい論点:後見・信託・日常生活自立支援の使い分け
「支援者設計」でよく出てくる制度は次の3つです。役割が違うので、混ぜずに整理すると分かりやすくなります。
- 成年後見:契約・財産管理・権利擁護を法的に担う(必要な人に強い)
- 家族信託:お金の管理・使い方を目的に沿って設計しやすい(財産管理の自由度)
- 日常生活自立支援:日常的なお金・書類の支援(契約理解が一定必要)
「後見を立てないとダメ」と言われた場合でも、
本当に必要な範囲が“金銭管理だけ”なのか、“契約全般”なのかで選択肢が変わります。
まずは困りごとを「何の行為ができないか」に分解して整理すると、過不足のない設計になりやすいです。
6. 今日からできる「設計」チェックリスト
(1)住まいの候補を2案つくる
- 第1候補:本人が一番安定しそうな住まい
- 第2候補:親の支援が難しくなった場合の住まい
(2)お金の流れを“3つ”に分ける
- 生活費(毎月の家賃・光熱費・食費)
- 本人の小遣い(少額)
- 予備費(医療・家電・引越しなど突発)
(3)支援者を“役割”で固定する
- 日常の見守り:誰(事業所・支援員)
- 契約・更新:誰(家族・後見など)
- 緊急時の最終判断:誰(連絡順も含めて)
住まいの選択肢が広がり、年金・手当を「生活に落とし込む」道筋が見えてきます。
親亡き後の不安は、“設計”に変えられます。
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