【知らないと危険】遺言書で失敗しないための「特定遺贈」と「包括遺贈」|違い・落とし穴・賢い使い分けを専門家が解説

【目次】

  1. 遺贈とは?遺言書で財産を渡すときの基本

  2. 「特定遺贈」と「包括遺贈」の違い

  3. 特定遺贈のメリット・注意点

  4. 包括遺贈のメリット・注意点

  5. 障害のある子への相続でどちらを選ぶべき?

  6. 遺言書でよく起こるトラブル事例

  7. 特定遺贈・包括遺贈を使い分けるポイント

  8. 遺言書作成時に必ず押さえたい5つの注意点

  9. まとめ

  10. お問い合わせ


1|遺贈とは?遺言書で財産を渡すときの基本

遺贈(いぞう)とは、
遺言書によって相続人以外の人や団体へ財産を渡すことです。

相続では法定相続人に自動的に財産が承継されますが、
遺贈は「遺言書に書いた相手」に渡すことができます。

遺贈には以下の2種類があります。

  • 特定遺贈

  • 包括遺贈

どちらを選ぶかで、
遺言の実現性や争いの発生リスクが大きく変わります。


2|「特定遺贈」と「包括遺贈」の違い

● 特定遺贈

「○○の土地」「△△銀行の預金100万円」など
“特定の財産を指定して渡す”遺贈方法

👉 例)
「横浜市の自宅不動産を長女に遺贈する」
「預金口座のうち○○銀行の300万円をAさんに渡す」

● 包括遺贈

財産全体の一定割合や全部をまとめて渡す方法。

👉 例)
「全財産の3分の1をBさんに包括遺贈する」
「全財産を妻に包括遺贈する」

包括遺贈を受けた人は「相続人に準ずる地位」が与えられ、
相続人と同様、負債(借金)も承継します。


3|特定遺贈のメリット・注意点

◎ メリット

  • 渡す財産を明確に指定できる

  • 贈りたい相手に必要な財産をピンポイントで渡せる

  • 寄付や恩人へのお礼などに向いている

▲ 注意点

  • 財産がなくなると無効になる
    (例:生前に売却してしまった不動産など)

  • 財産の価値変動により公平性が崩れる可能性

  • 財産の名義変更手続きが煩雑になりやすい

特に「不動産」を特定遺贈する場合は、
管理費・修繕費・固定資産税などを誰が負担するかも重要です。


4|包括遺贈のメリット・注意点

◎ メリット

  • 財産を“割合”で渡すため公平性が高い

  • 財産が変動しても遺言の効力が保たれる

  • 財産目録の作成負担が少ない

  • 遺言をシンプルに書ける

▲ 注意点

  • 負債(借金)も承継してしまう

  • 不動産の共有が発生する可能性

  • 分割協議が必要になるケースがある

「割合で渡す」という便利さと引き換えに、
思わぬリスクが潜んでいる点が重要です。


5|障害のある子の相続ではどちらを選ぶべき?

障害のある子の将来を考える場合、
状況によって適した選択が異なります。

【特定遺贈が向いているケース】

  • 生活資金(預金)を確実に渡したい

  • 住まい(自宅)を子に確保してあげたい

  • 特定の受託者(家族信託)に財産を渡したい

【包括遺贈が向いているケース】

  • 財産の総額が大きく、変動しやすい

  • 兄弟姉妹との公平性を保ちたい

  • 財産管理を後見人や受託者に任せたい

ただし、
包括遺贈は借金も承継するため慎重に判断が必要です。

障害のある子が債務を抱えるのは避けたいため、
財産状況の把握が重要です。


6|遺言書でよく起こるトラブル事例

● 財産を特定しすぎて実現できない

→ 口座名が変わった
→ 不動産を生前に売却してしまった

● 包括遺贈で負債を継いでしまう

→ 退職金・預金はあるが借金も多かった

● 不動産の遺贈で共有状態が生まれる

→ 管理・修繕で揉める
→ 売却の合意が取れない

● 兄弟間で不公平が発生

→ 遺留分侵害で争いになる

遺言書は一度作れば安心ではなく、
状況の変化に合わせて見直しが必要です。


7|特定遺贈・包括遺贈を使い分けるポイント

  1. 財産の種類・価値が変動しやすいか

  2. 障害のある子の将来の“必要資金”はどれくらいか

  3. 他の相続人との公平性をどう確保するか

  4. 不動産の扱いをどうするか

  5. 家族信託や後見制度との併用は必要か

  6. 負債を承継させても問題がないか

  7. 遺言をシンプルにしたいか、細かく指定したいか

専門家とシミュレーションしながら決めると、
失敗を防ぎやすくなります。


8|遺言書作成時に必ず押さえたい5つの注意点

  1. 財産を特定しすぎない(金融機関名変更に注意)

  2. 不動産は登記事項で明確に記載すること

  3. 包括遺贈の場合は負債状況を必ず把握すること

  4. 遺留分トラブルを事前に想定すること

  5. 遺言だけでなく、信託・後見制度と併用すること

障害のある子の将来を守るには、
“遺言書だけでは足りない”ことも多いのが現実です。


9|まとめ

特定遺贈と包括遺贈は、遺言書を作成するうえで非常に重要なポイントです。

  • 特定遺贈は「この財産を渡したい」という具体性

  • 包括遺贈は「公平に渡したい」という柔軟性

どちらも一長一短であり、
家庭の状況・財産の種類・相続人の構成によって最適な方法は異なります。

障害のある子がいる家庭では、
遺言書の書き方ひとつが将来の生活の安定に直結します。

信託・後見・死後事務委任などと組み合わせ、
親が元気なうちに“将来の設計図”を作ることが何より重要です。


【お問い合わせ】

障害を持つ子どもの親亡き後を支える会
〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町3-3-5 6階605

〒231-0032
神奈川県横浜市中区不老町1-6-9 第一HBビル8階A
TEL:0120-905-336

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