【徹底解説】障がいのある子の「親なき後問題」を解決する5つの具体策|制度・契約・財産管理の実務ポイント

障がいのある子を育てる家庭にとって、もっとも大きな不安が「親がいなくなった後、この子の生活はどうなるのか」という問題です。
この不安を解消するためには、感情的な心配ではなく、将来起こり得るリスクに対して“どんな対策があるのか”を一つずつ押さえていくことが欠かせません。

ここでは、親なき後問題に対する解決策を、5つの視点から整理して解説します。


1. 成年後見制度|生活と財産を総合的に支える法的枠組み

成年後見制度は、判断能力が低下した人に代わって、

  • 財産管理

  • 各種契約

  • 医療・福祉サービスの手続き
    などを支えるための法制度です。

親が亡くなった後に
「この子の契約行為は誰がやるのか」
「福祉サービスの更新手続きはどうなるのか」
といった問題を解決してくれる、もっとも代表的な仕組みです。

● 成年後見には「法定後見」と「任意後見」の2種類がある

法定後見

・すでに判断能力が低下している場合に家庭裁判所が選任
・身上保護(生活の見守り)と財産管理の両方を担当
・親族が選ばれることもあるが、専門職(弁護士・司法書士)が選任されることも多い

任意後見

・本人の判断能力があるうちに“将来の代理人”を指定する契約
・信頼できる人を自分で選べる
・制度開始は能力低下後(家庭裁判所の監督付き)

親なき後の不安が強い場合は、
「任意後見を先に作っておき、能力低下後は成年後見へ移行する」
という二段構えの準備も可能です。

● 家族信託との違い

成年後見 → 財産管理+身上保護(生活の支援)
家族信託 → 財産管理のみ

生活面のサポートまで必要なケースでは、成年後見が不可欠です。


2. 任意後見契約|信頼できる人を「自分の意思で」後見人に選べる対策

親なき後の不安には、
「誰がこの子の生活を支えてくれるのか」
という問題がつきまといます。

任意後見契約は、本人の意思で

  • 信頼できる親族

  • 福祉に理解のある知人

  • 専門家
    を後見人として指定しておく制度です。

● 特徴

  • 親が元気なうちに契約できる

  • 将来の後見人を自分で決められる

  • 成年後見と違い、裁判所が勝手に後見人を決めることがない

判断能力がしっかりしている今こそ準備できる点が大きなメリットです。


3. 遺言書の作成|財産をどのように子へ残すかを明確にする

親なき後問題の中で「お金の問題」は最も大きな不安です。
遺言書は、

  • 財産をどれだけ

  • 誰に

  • どのような形で
    渡すかを明確にできる重要な手段です。

● 遺言を作成すべき理由

  1. 障がいのある子へ“確実に”財産を残せる

  2. 他の相続人との不公平感を避けられる

  3. 日常生活の基盤となるお金を確保できる

  4. 将来の兄弟間トラブルを防げる

法定相続では思うように財産を渡せません。
「多めに残したい」
「金額を調整したい」
という場合は遺言が必須です。

● 遺留分への配慮が必要

兄弟姉妹以外の相続人には“最低限の取り分”が保証されています。

例:
相続財産4,000万円
子A(障がいあり)・子B(健常)
→ Bには1,000万円の遺留分がある

全額Aに渡す遺言を書くと、のちにトラブルになりかねません。
事情説明や文面での配慮が重要です。

● 財産承継は信託でも可能

遺言と違い、信託では
「Aに財産を渡し、後にBへ引き継ぐ」
といった柔軟な指定もできます。


4. 日常生活自立支援制度|“日々の生活管理”を助ける対策

日常生活自立支援制度は、判断能力が低い方を対象に、

  • 書類の確認

  • 公共料金の支払い

  • 家計管理の支援

  • 郵便物や通帳の確認
    など、日常の金銭管理をサポートしてくれる仕組みです。

支援の範囲は成年後見制度より狭いものの、

  • 契約のサポート

  • 生活費のやりくり

  • 日常的な支払い管理
    を任せることができます。

生活面の「細かい部分」に不安がある家庭にとって有効です。


5. 家族信託|お金の管理を柔軟に任せられる仕組み

家族信託は、親や本人の財産を「信頼できる家族」に管理してもらう制度です。

● 特徴

  • 財産管理の自由度が高い

  • 不動産売却に家庭裁判所の許可が不要

  • 成年後見制度ではできない資金の使い方が可能

  • 親亡き後に継続的な資金管理ができる

● 利用イメージ

例えば、
「毎月20万円を子どもの生活費として使ってよい」
「施設入所が必要になったら費用をこの口座から支出する」
といったルールを設定できます。

受託者(管理者)は、親族だけでなく専門職に依頼することも可能です。


● 注意点

  • 契約は“判断能力があるうち”でなければ締結できない

  • 身上保護(生活の見守り)は制度の対象外

  • 成年後見と併用して使う場面が多い

そのため、
家族信託=お金の管理
成年後見=生活の見守り

という役割分担で使うのが一般的です。


まとめ

状況に合わせて制度を組み合わせることが重要

親なき後の対策は、1つの制度だけでは不十分です。
実際には、次のような組み合わせがよく選ばれます。

  • 成年後見(生活支援)+家族信託(資産管理)

  • 任意後見(将来の担い手確保)+遺言(財産の指定)

  • 日常生活自立支援(細かな支援)+後見制度

家庭の状況に合わせて「生活面」「お金の管理」「法的手続き」を分けて準備しておくことが、親なき後の安心につながります。


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