【初心者向け】未成年の遺産相続はどう進める?親が亡くなったときに必要な手続きと注意点をやさしく解説

【目次】

  1. はじめに:未成年の相続は“大人と同じではない”

  2. 未成年が相続人になる典型ケース

  3. 未成年が相続手続きに参加できない理由

  4. 必ず必要になる「特別代理人」とは

  5. 特別代理人が必要な具体的ケース

  6. 特別代理人の選び方(誰がなれる?誰がなれない?)

  7. 特別代理人選任申立ての流れ

  8. 相続放棄はどうなる?未成年でも可能?

  9. 相続税の扱いと未成年者控除

  10. 親亡き後に備えてできる対策(遺言・信託・後見制度など)

  11. まとめ

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1|はじめに:未成年の相続は“大人と同じではない”

親が亡くなると、子どもは年齢に関係なく法定相続人になります。
しかし、未成年(20歳未満)は相続の手続きに自分で参加することができません。

なぜなら、未成年は法律上「単独で有効な契約を結べない」ため、
遺産分割協議(相続人の話し合い)を行うこともできないからです。

そのため、
未成年が相続人になる場合は、必ず大人が代わりを務める必要があります。


2|未成年が相続人になる典型ケース

■一番多いのは「片親が亡くなったとき」

夫が亡くなり、妻と未成年の子が相続人になるケース。

■祖父母の相続でも起こる

・親が先に他界している
・相続が代襲相続になる
→ 孫(未成年)が相続人に入る

■両親を亡くした場合

さらに手続きが複雑化します。


3|未成年が相続手続きに参加できない理由

民法では、
未成年者は 重要な契約行為を単独で行う能力がない とされています。

遺産分割協議は「契約行為」そのもの。

手続きの効力を確実にし、未成年を不当な不利益から守るため、
必ず大人(法定代理人)が必要になります。


4|必ず必要になる「特別代理人」とは

未成年の代理を行うには「親権者」が基本ですが、
多くのケースでは 親権者と利益が衝突(利益相反)してしまいます。

【利益相反とは?】

母(親権者)と未成年の子が両方相続人の場合、
母が「なるべく自分の取り分を多くしたい」と考えれば、
子の利益が損なわれます。

そのため、家庭裁判所が
中立な立場の大人=特別代理人 を選任します。


5|特別代理人が必要な具体的ケース

●典型的ケース

夫が亡くなり、相続人が

  • 未成年の子1人
    の場合

妻(親権者)が未成年の子の代理はできません。
→ 必ず特別代理人を選任する。

●遺産の内容によって必要性が変わる

  • 不動産の分割

  • 預金の分け方

  • 生命保険金の扱い
    など、金銭が絡む場合はほぼ必須。


6|特別代理人の選び方(誰がなれる?誰がなれない?)

■なれる人

  • 親族(祖父母・叔父叔母など)

  • 弁護士

  • 司法書士

  • 行政書士(成年後見人経験者など)

家庭裁判所が「利益相反がない」と判断した人が選ばれます。

■なれない人

  • 親権者

  • 一緒に相続する相続人

  • 利害関係のある親族

※判断は家庭裁判所が行います。


7|特別代理人選任申立ての流れ

  1. 家庭裁判所へ申立書を提出

  2. 必要書類を添付
    (戸籍・財産資料・遺産分割案など)

  3. 裁判所が内容を審査

  4. 特別代理人が選任される

  5. 遺産分割協議が成立

  6. 相続登記などの手続きへ進む

■選任までの期間

平均1〜2か月。
急ぐ場合は早めの準備が必要です。


8|相続放棄はどうなる?未成年でも可能?

未成年でも 相続放棄は可能 です。

しかし放棄も利益相反となるため、
必ず特別代理人が必要 です。

●相続放棄の期限

相続開始から3か月以内
(未成年の場合も同じ)

期限を過ぎると手続きが大幅に複雑化します。


9|相続税の扱いと未成年者控除

相続税では、未成年者に有利な制度として
**「未成年者控除」**が利用できます。

■未成年者控除の計算式

(20歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円

例:10歳の子が相続する場合
→(20歳−10歳)×10万円=100万円控除

障害者控除など、他の控除と併用も可能。


10|親亡き後に備えてできる対策

未成年の相続はトラブルが起きやすいため、
親が元気なうちに準備しておくことが非常に重要です。

① 遺言書を作成する

遺産の分け方を指定しておけば、
特別代理人の申立てが不要になるケースもあります。

特に指定しておきたいこと

  • 不動産は誰に相続させるか

  • 預金の分け方

  • 未成年の生活費の確保

  • 推定相続人同士の争い防止

② 家族信託で財産を管理してもらう

親が認知症になった場合、財産が凍結され相続準備ができなくなるリスクがあります。

家族信託を活用すると、
「子の生活費の確保」や
「未成年への円滑な財産承継」などが管理しやすくなります。

③ 成年後見制度ではなく「任意後見」を検討する

親が判断能力を失う前に、信頼できる人に財産管理を任せられる仕組みです。

未成年の相続手続きを円滑に進めやすくなります。


11|まとめ

  • 未成年の相続は大人と同じように遺産分割に参加できない

  • 親権者が代理できないため、家庭裁判所で特別代理人を選任する必要がある

  • 相続放棄の場合も同様

  • 未成年者控除など、税制上の優遇もある

  • トラブルを避けるには「遺言」「信託」「後見制度」など事前準備が効果的

未成年が関わる相続は、家庭の状況・財産状況によって手続きが大きく変わるため、
早めに専門家へ相談することが安心につながります。


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