【初心者向け】未成年の遺産相続はどう進める?親が亡くなったときに必要な手続きと注意点をやさしく解説
【目次】
はじめに:未成年の相続は“大人と同じではない”
未成年が相続人になる典型ケース
未成年が相続手続きに参加できない理由
必ず必要になる「特別代理人」とは
特別代理人が必要な具体的ケース
特別代理人の選び方(誰がなれる?誰がなれない?)
特別代理人選任申立ての流れ
相続放棄はどうなる?未成年でも可能?
相続税の扱いと未成年者控除
親亡き後に備えてできる対策(遺言・信託・後見制度など)
まとめ
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1|はじめに:未成年の相続は“大人と同じではない”
親が亡くなると、子どもは年齢に関係なく法定相続人になります。
しかし、未成年(20歳未満)は相続の手続きに自分で参加することができません。
なぜなら、未成年は法律上「単独で有効な契約を結べない」ため、
遺産分割協議(相続人の話し合い)を行うこともできないからです。
そのため、
未成年が相続人になる場合は、必ず大人が代わりを務める必要があります。
2|未成年が相続人になる典型ケース
■一番多いのは「片親が亡くなったとき」
夫が亡くなり、妻と未成年の子が相続人になるケース。
■祖父母の相続でも起こる
・親が先に他界している
・相続が代襲相続になる
→ 孫(未成年)が相続人に入る
■両親を亡くした場合
さらに手続きが複雑化します。
3|未成年が相続手続きに参加できない理由
民法では、
未成年者は 重要な契約行為を単独で行う能力がない とされています。
遺産分割協議は「契約行為」そのもの。
手続きの効力を確実にし、未成年を不当な不利益から守るため、
必ず大人(法定代理人)が必要になります。
4|必ず必要になる「特別代理人」とは
未成年の代理を行うには「親権者」が基本ですが、
多くのケースでは 親権者と利益が衝突(利益相反)してしまいます。
【利益相反とは?】
母(親権者)と未成年の子が両方相続人の場合、
母が「なるべく自分の取り分を多くしたい」と考えれば、
子の利益が損なわれます。
そのため、家庭裁判所が
中立な立場の大人=特別代理人 を選任します。
5|特別代理人が必要な具体的ケース
●典型的ケース
夫が亡くなり、相続人が
妻
未成年の子1人
の場合
妻(親権者)が未成年の子の代理はできません。
→ 必ず特別代理人を選任する。
●遺産の内容によって必要性が変わる
不動産の分割
預金の分け方
生命保険金の扱い
など、金銭が絡む場合はほぼ必須。
6|特別代理人の選び方(誰がなれる?誰がなれない?)
■なれる人
親族(祖父母・叔父叔母など)
弁護士
司法書士
行政書士(成年後見人経験者など)
家庭裁判所が「利益相反がない」と判断した人が選ばれます。
■なれない人
親権者
一緒に相続する相続人
利害関係のある親族
※判断は家庭裁判所が行います。
7|特別代理人選任申立ての流れ
家庭裁判所へ申立書を提出
必要書類を添付
(戸籍・財産資料・遺産分割案など)裁判所が内容を審査
特別代理人が選任される
遺産分割協議が成立
相続登記などの手続きへ進む
■選任までの期間
平均1〜2か月。
急ぐ場合は早めの準備が必要です。
8|相続放棄はどうなる?未成年でも可能?
未成年でも 相続放棄は可能 です。
しかし放棄も利益相反となるため、
必ず特別代理人が必要 です。
●相続放棄の期限
相続開始から3か月以内
(未成年の場合も同じ)
期限を過ぎると手続きが大幅に複雑化します。
9|相続税の扱いと未成年者控除
相続税では、未成年者に有利な制度として
**「未成年者控除」**が利用できます。
■未成年者控除の計算式
(20歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円
例:10歳の子が相続する場合
→(20歳−10歳)×10万円=100万円控除
障害者控除など、他の控除と併用も可能。
10|親亡き後に備えてできる対策
未成年の相続はトラブルが起きやすいため、
親が元気なうちに準備しておくことが非常に重要です。
① 遺言書を作成する
遺産の分け方を指定しておけば、
特別代理人の申立てが不要になるケースもあります。
特に指定しておきたいこと
不動産は誰に相続させるか
預金の分け方
未成年の生活費の確保
推定相続人同士の争い防止
② 家族信託で財産を管理してもらう
親が認知症になった場合、財産が凍結され相続準備ができなくなるリスクがあります。
家族信託を活用すると、
「子の生活費の確保」や
「未成年への円滑な財産承継」などが管理しやすくなります。
③ 成年後見制度ではなく「任意後見」を検討する
親が判断能力を失う前に、信頼できる人に財産管理を任せられる仕組みです。
未成年の相続手続きを円滑に進めやすくなります。
11|まとめ
未成年の相続は大人と同じように遺産分割に参加できない
親権者が代理できないため、家庭裁判所で特別代理人を選任する必要がある
相続放棄の場合も同様
未成年者控除など、税制上の優遇もある
トラブルを避けるには「遺言」「信託」「後見制度」など事前準備が効果的
未成年が関わる相続は、家庭の状況・財産状況によって手続きが大きく変わるため、
早めに専門家へ相談することが安心につながります。
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