障害者(知的・精神)の“お金の管理”はどうする?|通帳・年金・給付金・支払いを仕組み化する方法

知的障害・精神障害のある方にとって、「お金の管理」は生活の安定に直結する重要なテーマです。
結論からお伝えすると、お金の管理は本人の能力だけで完結させる必要はなく、「仕組み」で支えることができます

この記事の結論
通帳・年金・給付金・支払いは、
「誰が管理するか」ではなく「どう仕組み化するか」で考えると、トラブルを大きく減らせます。


目次


1. なぜ「お金の管理」が問題になりやすいのか

障害のある方のお金の管理が難しくなる理由は、本人の性格や努力不足ではありません。
主な原因は、次のような環境と仕組みの問題にあります。

  • 収入や給付金の種類が多く、把握しづらい
  • お金を使う判断と、契約・支払いの判断が混在している
  • 詐欺や悪質商法のターゲットになりやすい
  • 親が管理してきたため、引き継ぎができていない

そのため、「本人に任せる or 全部親が管理する」という二択ではなく、
段階的に支える仕組みが必要になります。


2. 障害者のお金の全体像(収入・支出・資産)

まずは、お金の全体像を整理しましょう。

主な収入

・障害基礎年金/障害厚生年金

・就労収入(A型・B型・一般就労など)

・各種手当(自治体独自の給付など)

主な支出

・家賃、光熱費、通信費

・食費、日用品

・医療費、通院交通費

資産

・預貯金

・親からの贈与・相続予定の財産

この3つを分けて考えることで、「どこを本人に任せ、どこを支援するか」が見えやすくなります。


3. 通帳・キャッシュカードの管理方法

通帳管理で大切なのは、「触れる自由」と「守る仕組み」のバランスです。

  • 方法① 生活用口座と貯蓄用口座を分ける
  • 方法② キャッシュカードは引き出し限度額を低めに設定
  • 方法③ 大きなお金は本人が直接触れない構造にする

「全部取り上げる」のではなく、日常生活に必要な範囲だけを本人管理にするのが現実的です。


4. 障害年金・各種給付金の受け取りと注意点

障害年金や給付金は、本人の生活を支える重要な収入源です。

  • 年金は原則「本人名義口座」で受給
  • 未納・更新忘れがないよう定期確認
  • 収入申告が必要な給付制度に注意

管理が難しい場合、後見人や信託を通じて受け取る形にすることで、使い過ぎやトラブルを防げます。


5. 支払いを「自動化・見える化」する工夫

支払いは「判断」が伴うと負担になります。
そこでおすすめなのが自動化です。

  • 家賃・光熱費は口座振替にする
  • 通信費・保険料も自動引き落とし
  • 月ごとの残高を支援者と共有

支払いを自動化すると、「払い忘れ」「止められた」が激減します。


6. 制度で支える方法(自立支援・後見・信託)

どうしても本人管理が難しい場合は、制度の力を借ります。

日常生活自立支援事業

・日常的なお金の出し入れを支援

成年後見制度

・契約・財産管理を法的に代理

家族信託

・生活費の出し方をルール化

家庭の状況によって、単独利用・併用を検討します。


7. よくある失敗とトラブル事例

  • 通帳を渡しっぱなしで残高が急減
  • 詐欺被害に気づくのが遅れた
  • 親亡き後、誰も管理できず支払いが止まった

これらは、仕組みがあれば防げるトラブルです。


8. 今日からできるチェックリスト

  • 口座はいくつあるか把握している
  • 年金・給付金の受給状況を確認
  • 支払いを自動化できている
  • 「管理を引き継ぐ人」を想定している

お金の管理は、親が元気なうちに仕組みを作るほど、将来が楽になります


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