特別代理人って何?|未成年・利益相反だけじゃない“実務で必要になる場面”と申立て手順

結論から言うと、特別代理人は「本人の代わりに“本人の利益だけを考えて”手続きを進めるための臨時の代理人です。
未成年のときに出番が多いのは事実ですが、実務ではそれだけではなく、親族が代理すると“立場がぶつかる(利益相反)”場面で必要になります。

この記事では、「特別代理人って結局なに?」→「どんなときに必要?」→「申立て手順」の順に、初心者向けにわかりやすくまとめます。


目次


1. 特別代理人とは?一言でいうと

特別代理人は、本人に代わって法律行為を行う「臨時の代理人」です。
ポイントは、普段から本人を支える“親権者・法定代理人・後見人”とは別に、特定の手続きのためだけに選ばれること。

イメージ
本人の代わりに署名・押印をする人…というより、
「この場面では、普段の代理人が動くと不公平になるので、第三者を立てて安全に進める」ための制度です。

2. なぜ必要になる?「利益相反」の考え方

特別代理人が必要になる中心は、利益相反(りえきそうはん)です。
これは簡単にいうと、「代理する人の利益」と「本人の利益」がぶつかる状態です。

  • 代理人(親・配偶者など)も当事者として得をする/損をする
  • その状態で代理すると、本人の利益が後回しになるおそれがある

家庭裁判所は、本人の利益が守られる形で手続きが進むかを重視します。
だからこそ、利益相反があるときに特別代理人が選任されます。


3. 未成年だけじゃない:実務で“よくある”必要場面

「特別代理人=未成年のため」と思われがちですが、実務では次のような場面でも出てきます。

① 遺産分割協議で、親が子を代理できないとき

たとえば、相続で母と子が相続人になり、遺産分割協議をするケース。
母は自分の取り分も決まる当事者です。子(未成年)の代理を母がすると、母が自分に有利な配分にしてしまうリスクが理屈上生じます。
このとき、子のために特別代理人が必要になることがあります。

② 贈与・売買など、家族間取引で代理が危ういとき

本人名義の財産について、家族が関与する取引(売買・贈与・担保設定など)では、「本人の利益か?」が厳しく見られます。
利益相反があると判断されると、特別代理人が必要になります。

③ “代理人が複数の立場を同時に背負う”とき

例えば、同じ人が複数の相続人の代理をしようとすると、利害がぶつかる可能性が高まります。
この場合も、どこかの立場が弱くなるため、特別代理人の検討対象になります。


4. 障害のある家族がいる相続で、特別代理人が出てきやすいケース

障害のある家族がいる場合、特別代理人が登場しやすいのは、次のように「本人を守るべき人が、同時に当事者でもある」パターンです。

  • 未成年の相続人がいる(親が相続人でもある)
  • 障害のある子の代理を、相続人でもある家族がしようとする
  • 「障害のある子に多く残す」方針に、他の相続人が反発している
  • 本人の意思確認が難しく、誰が“本人のため”を判断するか揉めている
よくある誤解
「家族が一番わかってるから、家族が代理でいい」
→ 気持ちは自然ですが、相続は“家族=当事者”になりやすく、制度上は利益相反が問題になりがちです。

5. 特別代理人と成年後見の違い(混同しやすいポイント)

似ているようで、役割が違います。ここを押さえると判断がラクになります。

  • 特別代理人特定の手続きのための“臨時の代理人”(スポット)
  • 成年後見本人の生活・財産を継続的に支える制度(長期)

つまり、相続手続きの一場面だけ安全に進めたいなら特別代理人、
今後の金銭管理や契約なども継続的に支える必要があるなら成年後見、という整理がしやすいです。


6. 申立て手順(家庭裁判所):流れを10分で把握

特別代理人は、家庭裁判所に申立てをして選任してもらいます。大まかな流れは次のとおりです。

  1. どの手続きで必要かを整理(遺産分割協議、売買、贈与など)
  2. 申立先の家庭裁判所を確認(原則:本人の住所地)
  3. 申立書の作成
  4. 必要書類をそろえる(戸籍・住民票など)
  5. 候補者を立てる(親族以外の第三者を検討することも)
  6. 家庭裁判所へ提出
  7. 照会・追加書類の提出(求められる場合)
  8. 特別代理人の選任審判
  9. 特別代理人が、対象手続き(協議・署名など)を実行

「申立て→すぐ完了」というより、“必要性が伝わる書き方”が重要です。


7. 申立てでつまずくポイントと、通りやすくするコツ

つまずき①:「なぜ利益相反なのか」が説明できていない

裁判所が知りたいのは、“どこで利益がぶつかるのか”です。
申立書では、当事者関係(誰が相続人か)と、今回の手続きで誰が得をする/損をするかを整理して書くと通りやすくなります。

つまずき②:候補者が不適切(本人の利益を守れない)

候補者が当事者に近すぎると、“結局同じ問題が残る”と判断されることがあります。
状況によっては、親族外(専門家等)を候補にする方がスムーズな場合もあります。

つまずき③:相続の全体設計が未整理

遺産分割協議で選任する場合、協議案(分け方)が曖昧だと進みません。
「何を、誰が、いくら相続するか」を一度整理してから申立てすると、選任後の協議も進めやすくなります。


8. まとめ:迷ったら“どこで利益がぶつかるか”で判断

特別代理人は、「この場面では家族が代理すると、本人の利益が守れないかもしれない」というときに力を発揮します。
未成年に限らず、実務では家族が当事者になる相続・家族間取引で必要になることが多い制度です。

「うちも必要?」と迷ったら、“どこで利益がぶつかるのか”を整理するのが最短ルートです。


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