【初心者向け】ペット信託とは?飼い主の「もしも」に備えてペットを守る仕組みをやさしく解説

— お金・お世話・引き継ぎを“確実に”するための安心の制度 —

【目次】

  1. はじめに:ペットの将来を守る備えが必要な時代

  2. ペット信託とは?制度の全体像

  3. 遺言との違い:どちらがペットのために安全なのか

  4. ペット信託でできること

  5. ペット信託の仕組み(3者関係)

  6. 実際のケースで理解する「ペット信託の流れ」

  7. ペット信託のメリット

  8. ペット信託のデメリット・注意点

  9. どれくらいの費用が必要?

  10. ペットの世話を委託する方法(個人・団体)

  11. 他の選択肢(ペット後見・遺言・保険)との比較

  12. こんな人はペット信託を検討すべき

  13. よくある質問Q&A

  14. まとめ

  15. 📞 ご相談はこちら
      ☎ 0120-905-336


1|はじめに:ペットの将来を守る備えが必要な時代

犬・猫・小動物・鳥など、ペットは家族の一員です。

しかし、飼い主が高齢化するにつれて、

  • 入院したらどうする?

  • もし自分が急に亡くなったら?

  • ペットを引き継いでくれる人がいない

  • 親族はペットの世話ができない可能性がある

  • 預金をペットのために使ってもらえるのか不安

こうした“ペットの将来への不安”が急増しています。

実際に、飼い主の死亡等により行き場を失うペットは全国で増えています。

これらの不安を解消するために注目されているのが 「ペット信託」 です。


2|ペット信託とは?制度の全体像

ペット信託とは、

✔ 飼い主がペットのための財産を信託財産として預け

✔ “信頼できる人(または専門機関)” に管理・運用を任せ

✔ ペットが生涯適切に生活できるよう支援する制度

日本では法律上、ペットは「物」として扱われます。
そのため、ペットに直接財産を相続させることはできません。

しかし 信託制度を使えば「ペットの生活のために財産を使わせる」ことが可能 になります。


3|遺言との違い:どちらがペットのために安全?

遺言だけでは次の問題が起きます。

●「誰かにペットの世話を頼む」と書いても強制力がない

→ 無視されてしまうリスクがある

●ペットのために渡したお金を“本当にペットのために使うか”管理が難しい

→ お金を別の用途に使われてしまう可能性も

ペット信託ではこれらを補えます。

✔ ペットの世話を義務として設定できる

✔ お金の管理者を信託で指定できる

✔ お金の使い道について報告義務を課せる

結果として、
遺言よりも強制力が高く、ペットの将来の安全性が段違いに高い
のがペット信託です。


4|ペット信託でできること

  • ペットの食費・医療費・グルーミング代を確保

  • ペットの世話を誰に任せるかを指定

  • ペットが病気になったときの対応方針を指定

  • ペットが亡くなった時の葬送方法まで決められる

  • 飼い主が認知症になった場合も継続して保障できる


5|ペット信託の仕組み(3者関係)

ペット信託は次の3者で成立します。

■① 委託者(飼い主)

財産を信託として預ける人。

■② 受託者(財産を管理する人)

  • 親族

  • ペット信託の専門法人

  • 行政書士・士業
    などが選ばれます。

■③ 受益者(ペットの利益を受ける対象)

ペット本人ではなく「ペットの世話をする人」が受益者となる仕組みが一般的。

ポイント

ペットのために“確実に”財産が使われるように、
契約内容を細かく設定できます。


6|実際のケースで理解する「ペット信託の流れ」

たとえば、次のような流れが一般的です。

【ケース】

70歳のAさん(独身)が飼っている猫の「ミケ」の将来が不安

① Aさんが信託契約を結ぶ

ミケの生活費として300万円を信託。

② 受託者(専門機関)が資金を管理

使い道は契約で決められている。

③ ミケの世話はAさんの友人Bさんが担当

Bさんには毎月一定額が信託から支払われる。

④ Aさんが亡くなった後も制度は継続

ミケの医療費・餌代は信託資金から支出される。

⑤ ミケの死亡後、残った財産はAさんの指定先へ

(親族・団体・寄付など自由に設定可能)

このように
「飼い主の死後」だけでなく「認知症になった後」も支援を継続できる
点が大きなメリットです。


7|ペット信託のメリット

✔ ① ペットのために財産を確実に使ってもらえる

信託契約で使用目的を限定できるため、安心感が大きい。

✔ ② 飼い主の“生前の安心”が得られる

入院・施設入所など、突然のお世話不足に対応できる。

✔ ③ 飼い主の死後も継続してサポート

遺言よりも確実にペットの生活が保障される。

✔ ④ ペットの生活状況を定期的に報告してもらえる

「ちゃんと世話してもらえているのか?」という不安が軽減。

✔ ⑤ 身寄りがない人でも活用できる

専門機関を受託者に指定すれば、家族がいない場合も利用可能。


8|ペット信託のデメリット・注意点

① 受託者選びが重要

ペットへの理解・責任感・実績などを考慮する必要。

② 設定や管理に費用がかかる

信託契約の作成費用や管理料が必要。

③ 信託財産が不足すると制度が継続できない

ペットの寿命が長い場合は資金計画が必須。

④ 世話をする人(飼養者)の確保が必要

個人・団体いずれの場合も事前の打合せが欠かせない。


9|どれくらいの費用が必要?

ペット1匹が生涯に必要とする費用の例:

  • 犬:約100〜250万円

  • 猫:約80〜150万円

  • 高齢期にはさらに医療費が増加

信託を組む場合は、
これに 信託管理費用 を追加した額を用意するのが一般的。


10|ペットの世話を委託する方法(個人・団体)

●個人(友人・親族)

メリット:動物の性格を理解している場合が多い
デメリット:負担が重くなる可能性

●団体(保護団体・専門法人)

メリット:専門的で安心度が高い
デメリット:費用が高めになる場合がある


11|他の選択肢(ペット後見・遺言・保険)との比較

■ペット後見

飼い主の生存中にサポート
→ 死亡後まで保証するわけではない

■遺言

飼育をお願いしても強制力が弱い
→ 信託のほうが確実

■ペット保険

医療費補助はあるが、将来のお世話はカバーしない


12|こんな人はペット信託を検討すべき

  • 独身・子どもがいない

  • 親族がペットの世話ができない

  • 多頭飼いしている

  • 高齢で将来が心配

  • ペットが長寿種(鳥・亀・大型犬など)

  • きちんとした「最期の備え」をしておきたい


13|よくある質問Q&A

Q. ペットに直接お金を残すことはできる?

→ 法律上不可能。信託なら間接的に可能。

Q. 信頼できる人がいない場合は?

→ 専門の受託者を選べば解決できます。

Q. 一匹だけでなく複数も可能?

→ 可能。契約内容に明記する。

Q. ペットが亡くなった後の残金は?

→ 飼い主が決めた相手へ戻す、寄付するなど自由に設定できる。


14|まとめ

ペット信託は、
「ペットを家族として大切にしたい」
という飼い主の思いを、法的に確実な形で残す仕組みです。

入院・施設入所・死亡・認知症など、
どんな状況でもペットの生活が途切れないようにするために、
もっとも信頼性の高い制度と言えるでしょう。


📞 ご相談はこちら

障害を持つ子どもの親亡き後を支える会

〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町3-3-5 6階605

〒231-0032
神奈川県横浜市中区不老町1-6-9 第一HBビル8階A

☎ 0120-905-336

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