障害のある子の生活費はいくら必要?|年金+手当+支援で組む「月次資金計画」

障害のある子の生活費は、「月いくら必要?」という数字だけを追うと、かえって不安が増えがちです。
本当に大切なのは、年金・手当・助成で土台を作り、そこに住まい(実家/グループホーム/一人暮らし)支援の使い方を組み合わせて、毎月ちゃんと回る“月次資金計画”を作ること。
この記事では、初心者でも迷わないように、収入と支出の整理方法、住まい別の考え方、親亡き後まで見据えた仕組み化のコツをまとめます。

この記事でできるようになること
・「収入(年金+手当)」を月額に直して見える化できる
・「固定費・変動費・臨時費」を分けて赤字の原因を特定できる
・親亡き後も破綻しにくい“支払いの仕組み”を作れる

目次


1. 結論:生活費は「住まい」で大きく変わる

障害のある子の生活費は、障害の種類や等級だけで決まりません。実務では、住まいの形で毎月の出費が大きく変わります。

  • 実家暮らし:家賃がない分、月次の赤字を作りにくい
  • グループホーム:家賃・食費等が出るが、生活支援が厚く安心感が高い
  • 一人暮らし:自由度が高い一方、家賃・光熱・見守り等でコストが増えやすい

つまり「月いくら必要?」は、①住まい ②収入(年金・手当等) ③必要な支援の組み合わせで答えが変わります。
最初に住まいの仮置きをしてから、収支を当てはめると、計画が一気に現実的になります。


2. 収入の柱:年金・手当・就労を“月額”で揃える

月次資金計画は、まず収入を「毎月ベース」に揃えるところから始めます。
特に年金や手当は2か月に1回支給などもあるため、必ず月額に割り戻しましょう。

主な収入の柱

  • 障害年金(障害基礎年金/障害厚生年金など)
  • 各種手当(障害児福祉手当、特別障害者手当、特別児童扶養手当など)
  • 就労収入(一般就労/A型・B型の工賃など)
  • 助成・減免(医療費助成、交通割引、公共料金減免など)
ポイント
・収入は「理想」ではなく、今確実に入っている金額を基準に設計します。
・増える可能性がある就労収入などは、まずは別枠(プラスα)で扱うと計画が崩れにくくなります。

3. 支出の見取り図:固定費/変動費/臨時費に分ける

支出は、家計簿を細かく付けなくても、次の3つに分けるだけで「赤字の原因」が見えるようになります。

① 固定費(毎月ほぼ一定)

  • 家賃(グループホーム費用の居住部分を含む)
  • 食費(施設・GHで定額の場合も)
  • 光熱費・通信費(スマホ含む)
  • 交通費(通所・通勤)
  • 保険・サブスク(必要な場合)

② 変動費(増減する)

  • 日用品、衣類、嗜好品
  • 医療費(助成後の自己負担)
  • 趣味・外出・交際費

③ 臨時費(年に数回ドンと出る)

  • 更新・診断書等の費用
  • 家電・スマホの買い替え
  • 入退去・引っ越し関連
  • 体調悪化・入院など突発的な支出

よくある落とし穴は、「毎月は黒字なのに、年単位で赤字」になること。
原因はほとんどが臨時費の見落としです。臨時費は次章の方法で、必ず月次の計画に入れます。


4. 住まい別の考え方:実家/グループホーム/一人暮らし

ここでは「金額の断定」ではなく、費用が増減しやすいポイントを押さえて、月次資金計画に落とし込めるようにします。

実家暮らし(家賃なし)

  • 家賃がない分、月次は作りやすい
  • 一方、親が支払いを抱え込みやすく、親亡き後に崩れやすい
  • 「支払いの自動化」「口座の分離」を早めにやるほど安心

グループホーム

  • 家賃・食費・日用品などが発生し、月次の固定費が増える
  • 生活支援が厚く、日常の安定が作りやすい
  • 入退去・通院増などで臨時費が出やすいので“積立”が重要

一人暮らし(見守り・支援つき)

  • 家賃・光熱・通信が基本セットで発生
  • 支援(見守り・ヘルパー等)の組み方で自己負担が変わることがある
  • 契約・支払い・金銭管理が課題になりやすいので仕組み化が必須
住まいを決めきれない場合のコツ
まずは「現状(実家)」と「将来候補(GH or 一人暮らし)」の2パターンで月次計画を作って比較すると、家族会議が進みやすくなります。

5. 月次資金計画の作り方:不足しない順番とコツ

手順1:収入を月額に直す

年金・手当・就労収入をすべて「月額」で揃えます(2か月に1回支給でも月額に換算)。
助成・減免は収入に足すより、支出の自己負担を減らす形で反映するとブレにくいです。

手順2:固定費を先に確定する

固定費は家計の土台です。ここが高すぎると破綻します。
家賃・通信・交通など、必ず出る支出から先に決めます。

手順3:変動費は“上限”を決める

変動費は管理しないと膨らみます。おすすめは、項目ごとに「上限」を決める方法です。
例:日用品◯円、余暇◯円、衣類◯円など。

手順4:臨時費を“積立”に変える

臨時費は「年単位の赤字」を作る元凶です。
たとえば年間12万円かかるなら、月1万円の積立として月次計画に入れます。

手順5:赤字が出たら、この順番で潰す

  1. 固定費を下げる(住まい・通信・不要な支払いの見直し)
  2. 助成・制度の取りこぼしを減らす(医療・交通・減免など)
  3. 無理のない範囲で収入を安定させる(就労・日中活動の整備)
  4. それでも不足する場合は、親の資金を「仕組み」で補う(遺言・信託等)

6. 親が元気なうちに決める3つ:口座・支払い・緊急費

月次資金計画が机上で終わる最大の原因は、「誰が、どう回すか」が決まっていないことです。
親が元気なうちに、最低限この3つだけは決めておくと、親亡き後の混乱が減ります。

① 口座:生活口座と貯蓄口座を分ける

  • 生活口座:家賃・光熱・携帯など引落の母艦
  • 貯蓄口座:臨時費・将来費用の積立

口座を分けるだけで、生活費を使い込みにくくなり、支援者にも説明しやすくなります。

② 支払い:できるだけ自動化する

  • 家賃、光熱、携帯、保険等は口座引落へ
  • 支払い日をカレンダー化(家族・支援者が共有できる形)

③ 緊急費:まずは生活費3か月分を目標に

入院・施設変更・退職など、生活は急に変わります。
最初から大きな額を目指さず、生活費1か月分 → 3か月分と段階的に積み上げるのが現実的です。


7. 親亡き後に備える仕組み:後見・信託・日常生活の支援

月次資金計画のゴールは、「今月を回す」だけではなく、親がいなくても同じ形で回ることです。
親亡き後に起きやすい問題は、生活費そのものよりも、次のような“運用”の崩れです。

  • 契約(住まい・スマホ・施設利用)ができない/止まる
  • 通帳・印鑑・暗証番号の管理が崩壊する
  • 詐欺・浪費・第三者の介入でお金が減る
  • 支援者が分からず、手続きや連絡が滞る

この“運用の崩れ”を防ぐために、状況に応じて次の制度・仕組みを検討します。

代表的な選択肢(目的別)

  • 日常生活自立支援:日常の金銭管理や書類保管のサポート(判断能力が一定必要なことがあります)
  • 成年後見:財産管理+契約などを法的に支える(必要性の見極めが重要)
  • 家族信託・福祉型の仕組み:お金の使い道を目的に沿って管理しやすい(設計が肝)
失敗しない考え方
制度名から選ぶのではなく、「毎月の回し方(資金計画)」→「それを誰が担うか」の順番で当てはめると、ミスマッチが減ります。

8. すぐ使えるチェックリスト:今日からの進め方

  • 住まいはどれを想定していますか(実家/GH/一人暮らし)
  • 収入(年金・手当・就労)を月額換算した数字がありますか
  • 固定費(家賃・通信・交通)が収入の範囲に収まっていますか
  • 臨時費(更新・家電・入退去等)を月次の積立に変えていますか
  • 生活口座と貯蓄口座が分かれていますか
  • 支払い(家賃・光熱・携帯等)は自動化できていますか
  • 親が動けなくなった時、誰が口座・契約・支援者調整をしますか
  • 親亡き後に備える仕組み(後見・信託等)の検討が進んでいますか

一つでも「不安」があるなら、月次資金計画は改善できます。
完璧な家計簿よりも、続く仕組みを作ることが、将来の安心につながります。


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