【専門家がわかりやすく解説】医療費控除と重度障害者医療費助成のすべて

― 障害のある子どもの家庭が必ず知っておくべき最新ガイド(令和7年4月以降対応)

【目次】

  1. はじめに|障害のある子の家庭ほど「医療費の知識」が将来を左右する

  2. 医療費控除とは?基本をわかりやすく解説

  3. 医療費控除の対象になる費用一覧(最新版)

  4. 医療費控除の計算方法

  5. 医療費控除を受けるための必要書類

  6. 医療費控除で特に注意すべきポイント

  7. 重度障害者医療費助成とは?(横浜市版:令和7年4月改定後)

  8. 対象者(障害区分)

  9. 助成内容(どこまで無料?何が対象外?)

  10. 高額療養費との関係

  11. 医療費助成を受ける手続きの流れ

  12. 医療証(マル重)の更新・注意点

  13. 障害者の医療費で“もっと得する”制度一覧

  14. よくある質問(Q&A)

  15. まとめ

  16. 📞 ご相談はこちら


1|はじめに|障害のある子の家庭ほど“医療費の知識”が将来を守る

障害のある子を育てる家庭の多くが、
「医療費」「通院費」「薬代」「リハビリ」などの 長期的支出が大きな負担になります。

しかし、実は次のような制度を理解しているかどうかで、
年間で数十万円単位の差が出ることも珍しくありません。

  • 医療費控除(確定申告の控除制度)

  • 重度障害者医療費助成(マル重)

  • 自立支援医療(精神通院・更生医療・育成医療)

  • 高額療養費制度

  • 障害年金との併用

  • 税の特例(障害者控除・特別障害者控除)

本記事では、特に利用ニーズの高い 医療費控除重度障害者医療費助成
実務レベルでわかりやすく解説します。


2|医療費控除とは?基本をわかりやすく

医療費控除=1年間の医療費が多い家庭の税金を軽くする制度
です。

決して特別な制度ではなく、
サラリーマン・パート・自営業すべての人が利用できます。

対象期間

1月1日〜12月31日の医療費が対象。

控除が受けられる条件

以下のどちらかを満たした場合、医療費控除を受けられます。

  • 年間10万円を超える医療費を支払った

  • 総所得金額が200万円以下の場合、総所得の5%を超えた

障害のある子がいる家庭では、
この条件を満たしやすい傾向があります。


3|医療費控除の対象になる費用一覧(最新版)

代表例は以下のとおり。

■医療費として認められるもの

  • 医師の診療費

  • 病院の治療費・手術費

  • 処方箋医薬品

  • 通院のための交通費(電車・バス・タクシー)

  • 障害児の通院介助の付き添い交通費

  • リハビリ・理学療法費

  • 訪問看護

  • 入院中の食事療養費・居住費

  • 歯科治療(歯列矯正も含む:医療目的の場合)

  • 補装具(補聴器・義歯・車いす等:医師の指示がある場合)

  • 助産師による分娩費用

■対象外のもの

  • 美容目的の治療

  • 健康診断(治療につながらない場合)

  • 自家用車のガソリン代

  • 市販のサプリ

  • 付き添いの人の飲食代


4|医療費控除の計算方法

計算式は以下の通り:

医療費控除額 =(支払った医療費 - 保険金等で補填された金額)- 10万円
(※所得200万円以下の場合:10万円 → 所得の5%)

例:障害のある子と家族の医療費

  • 医療費合計:25万円

  • 生命保険の給付金:3万円

  • 所得:300万円
    → 医療費控除額
    (25万 − 3万)− 10万 = 12万円

これにより所得が12万円減るため、
所得税・住民税が下がります。


5|医療費控除を受けるための必要書類

  • 医療費通知(医療費のお知らせ)

  • 医療費控除の明細書

  • 領収書(保存義務あり:提出は不要)

  • 交通費の記録(メモでOK)

  • マイナンバーカード

  • 確定申告書

国税庁:医療費控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm


6|医療費控除で特に注意すべきポイント

  1. 通院のタクシー代は認められる(合理的理由がある場合)

  2. 障害児の付き添い交通費は親の交通費もOK

  3. 自治体の助成で“自己負担がゼロ”でも医療費控除できるケースあり
     → 助成額が「保険金等」に該当しないため

  4. 領収書がなくても明細書があれば申告可能


7|重度障害者医療費助成とは?(横浜市版・令和7年4月以降)

横浜市の「重度障害者医療費助成制度(マル重)」は、
重度障害のある方の医療費を助成する制度です。

公式サイト:
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/iryohijosei/judo.html

助成内容

  • 医療費(保険診療分)が原則無料

  • 入院時の食事療養費は負担あり(所得に応じる)

  • 補装具等は対象外(別制度あり)


8|対象者(横浜市:令和7年4月改定)

以下のいずれかに該当する市民が対象。

■身体障害者手帳

1級・2級(重度)

■療育手帳

A1・A2(重度)

■精神障害者保健福祉手帳

1級(重度)

■難病

指定難病のうち市が定める疾患


9|助成の範囲(どこまで無料?)

■助成されるもの

  • 診療費

  • 調剤費

  • 入院費

  • 他院からの紹介による検査

  • 救急搬送後の診療費

■自己負担が必要なもの

  • 入院時食事療養費

  • 生活改善目的の検査

  • 美容目的の治療

■対象外

  • 市販薬

  • 自由診療

  • インプラントなど保険外治療


10|高額療養費との併用

重度障害者医療(マル重)の助成を受けた後でも、
高額療養費制度は併用可能

ただし、

  • 実際に支払った額が基準

  • 全額助成の場合は高額療養費がゼロになることもある

協会けんぽ:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/


11|申請手続きの流れ

  1. 障害者手帳を取得

  2. 区役所で「重度障害者医療証」を申請

  3. 医療証が発行される

  4. 医療機関で提示

  5. 助成開始

必要書類:

  • 障害者手帳

  • 健康保険証

  • 個人番号確認書類

  • 印鑑


12|医療証(マル重)の更新・注意点

  • 有効期限は1年間

  • 更新通知が届く

  • 期限を過ぎると助成が止まる

  • 障害区分の変更があれば要届出


13|障害者の医療費で“さらに得する制度”

■自立支援医療(精神通院・更生医療・育成医療)

→ 1割負担(所得に応じて上限あり)

■特別児童扶養手当

→ 障害児の家庭に月額給付

■高額療養費制度

→ 医療費が一定額を超えた場合に払い戻し

■障害者控除・特別障害者控除

→ 税金が軽減される

■心身障害者扶養共済制度

→ 親亡き後の年金タイプの給付

厚労省 自立支援医療:
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf


14|よくある質問(Q&A)

Q1:医療費助成を使うと医療費控除はできなくなる?

A:助成された分は医療費控除に入れられませんが、
自己負担した部分は控除できます。

Q2:重度障害者医療は通院でも使えますか?

A:はい。通院・入院どちらも対象です。

Q3:転居したらどうなる?

A:自治体ごとに制度が異なるため、転居先で再申請が必要です。

Q4:民間保険の給付金はどう扱う?

A:医療費控除では「保険金等」に該当し差し引かれます。


15|まとめ

  • 医療費控除は税金が戻る・軽くなる制度

  • 重度障害者医療費助成(マル重)は医療費“ほぼ無料”になる強力な支援

  • 令和7年4月以降も横浜市の制度は継続し、対象区分も明確化

  • 障害のある子の家庭では、制度の理解が家計の安定に直結

  • 自立支援医療・高額療養費・障害者控除など併用できる制度が多い

  • “使える制度の最大化”が親亡き後の生活を守るコツ


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