【専門家がわかりやすく解説】医療費控除と重度障害者医療費助成のすべて
― 障害のある子どもの家庭が必ず知っておくべき最新ガイド(令和7年4月以降対応)
【目次】
はじめに|障害のある子の家庭ほど「医療費の知識」が将来を左右する
医療費控除とは?基本をわかりやすく解説
医療費控除の対象になる費用一覧(最新版)
医療費控除の計算方法
医療費控除を受けるための必要書類
医療費控除で特に注意すべきポイント
重度障害者医療費助成とは?(横浜市版:令和7年4月改定後)
対象者(障害区分)
助成内容(どこまで無料?何が対象外?)
高額療養費との関係
医療費助成を受ける手続きの流れ
医療証(マル重)の更新・注意点
障害者の医療費で“もっと得する”制度一覧
よくある質問(Q&A)
まとめ
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1|はじめに|障害のある子の家庭ほど“医療費の知識”が将来を守る
障害のある子を育てる家庭の多くが、
「医療費」「通院費」「薬代」「リハビリ」などの 長期的支出が大きな負担になります。
しかし、実は次のような制度を理解しているかどうかで、
年間で数十万円単位の差が出ることも珍しくありません。
医療費控除(確定申告の控除制度)
重度障害者医療費助成(マル重)
自立支援医療(精神通院・更生医療・育成医療)
高額療養費制度
障害年金との併用
税の特例(障害者控除・特別障害者控除)
本記事では、特に利用ニーズの高い 医療費控除 と 重度障害者医療費助成を
実務レベルでわかりやすく解説します。
2|医療費控除とは?基本をわかりやすく
医療費控除=1年間の医療費が多い家庭の税金を軽くする制度
です。
決して特別な制度ではなく、
サラリーマン・パート・自営業すべての人が利用できます。
対象期間
1月1日〜12月31日の医療費が対象。
控除が受けられる条件
以下のどちらかを満たした場合、医療費控除を受けられます。
年間10万円を超える医療費を支払った
総所得金額が200万円以下の場合、総所得の5%を超えた
障害のある子がいる家庭では、
この条件を満たしやすい傾向があります。
3|医療費控除の対象になる費用一覧(最新版)
代表例は以下のとおり。
■医療費として認められるもの
医師の診療費
病院の治療費・手術費
処方箋医薬品
通院のための交通費(電車・バス・タクシー)
障害児の通院介助の付き添い交通費
リハビリ・理学療法費
訪問看護
入院中の食事療養費・居住費
歯科治療(歯列矯正も含む:医療目的の場合)
補装具(補聴器・義歯・車いす等:医師の指示がある場合)
助産師による分娩費用
■対象外のもの
美容目的の治療
健康診断(治療につながらない場合)
自家用車のガソリン代
市販のサプリ
付き添いの人の飲食代
4|医療費控除の計算方法
計算式は以下の通り:
医療費控除額 =(支払った医療費 - 保険金等で補填された金額)- 10万円
(※所得200万円以下の場合:10万円 → 所得の5%)
例:障害のある子と家族の医療費
医療費合計:25万円
生命保険の給付金:3万円
所得:300万円
→ 医療費控除額
(25万 − 3万)− 10万 = 12万円
これにより所得が12万円減るため、
所得税・住民税が下がります。
5|医療費控除を受けるための必要書類
医療費通知(医療費のお知らせ)
医療費控除の明細書
領収書(保存義務あり:提出は不要)
交通費の記録(メモでOK)
マイナンバーカード
確定申告書
国税庁:医療費控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
6|医療費控除で特に注意すべきポイント
通院のタクシー代は認められる(合理的理由がある場合)
障害児の付き添い交通費は親の交通費もOK
自治体の助成で“自己負担がゼロ”でも医療費控除できるケースあり
→ 助成額が「保険金等」に該当しないため領収書がなくても明細書があれば申告可能
7|重度障害者医療費助成とは?(横浜市版・令和7年4月以降)
横浜市の「重度障害者医療費助成制度(マル重)」は、
重度障害のある方の医療費を助成する制度です。
公式サイト:
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/iryohijosei/judo.html
助成内容
医療費(保険診療分)が原則無料
入院時の食事療養費は負担あり(所得に応じる)
補装具等は対象外(別制度あり)
8|対象者(横浜市:令和7年4月改定)
以下のいずれかに該当する市民が対象。
■身体障害者手帳
1級・2級(重度)
■療育手帳
A1・A2(重度)
■精神障害者保健福祉手帳
1級(重度)
■難病
指定難病のうち市が定める疾患
9|助成の範囲(どこまで無料?)
■助成されるもの
診療費
調剤費
入院費
他院からの紹介による検査
救急搬送後の診療費
■自己負担が必要なもの
入院時食事療養費
生活改善目的の検査
美容目的の治療
■対象外
市販薬
自由診療
インプラントなど保険外治療
10|高額療養費との併用
重度障害者医療(マル重)の助成を受けた後でも、
高額療養費制度は併用可能。
ただし、
実際に支払った額が基準
全額助成の場合は高額療養費がゼロになることもある
11|申請手続きの流れ
障害者手帳を取得
区役所で「重度障害者医療証」を申請
医療証が発行される
医療機関で提示
助成開始
必要書類:
障害者手帳
健康保険証
個人番号確認書類
印鑑
12|医療証(マル重)の更新・注意点
有効期限は1年間
更新通知が届く
期限を過ぎると助成が止まる
障害区分の変更があれば要届出
13|障害者の医療費で“さらに得する制度”
■自立支援医療(精神通院・更生医療・育成医療)
→ 1割負担(所得に応じて上限あり)
■特別児童扶養手当
→ 障害児の家庭に月額給付
■高額療養費制度
→ 医療費が一定額を超えた場合に払い戻し
■障害者控除・特別障害者控除
→ 税金が軽減される
■心身障害者扶養共済制度
→ 親亡き後の年金タイプの給付
厚労省 自立支援医療:
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf
14|よくある質問(Q&A)
Q1:医療費助成を使うと医療費控除はできなくなる?
A:助成された分は医療費控除に入れられませんが、
自己負担した部分は控除できます。
Q2:重度障害者医療は通院でも使えますか?
A:はい。通院・入院どちらも対象です。
Q3:転居したらどうなる?
A:自治体ごとに制度が異なるため、転居先で再申請が必要です。
Q4:民間保険の給付金はどう扱う?
A:医療費控除では「保険金等」に該当し差し引かれます。
15|まとめ
医療費控除は税金が戻る・軽くなる制度
重度障害者医療費助成(マル重)は医療費“ほぼ無料”になる強力な支援
令和7年4月以降も横浜市の制度は継続し、対象区分も明確化
障害のある子の家庭では、制度の理解が家計の安定に直結
自立支援医療・高額療養費・障害者控除など併用できる制度が多い
“使える制度の最大化”が親亡き後の生活を守るコツ
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