家族信託で“障害のある子のお金”を守る|契約の流れ・費用・よくある失敗と対策

障害のある子を育てている親御さんから、近年とても多い相談が
「この子のお金を、親亡き後も安全に管理できる方法はありませんか?」というものです。

成年後見制度に不安を感じている方、
「遺言だけでは足りないのでは?」と感じている方に、
選択肢のひとつとして注目されているのが「家族信託」です。

この記事では、
家族信託で障害のある子のお金を守る考え方を軸に、
契約の流れ・費用・よくある失敗とその対策を、
初心者向けにわかりやすく解説します。

この記事でわかること
・家族信託が向いているケース/向かないケース
・契約までの具体的な流れ
・実務で多い失敗例と回避ポイント

目次


1. 結論|家族信託は「お金の使い道を決めておく仕組み」

まず結論からお伝えします。
家族信託は「お金を預ける制度」ではありません。

家族信託の本質は、
「誰が・どんな目的で・どの範囲までお金を使っていいか」を、
親が元気なうちに決めておく仕組みです。

障害のある子が将来自分で財産管理をすることが難しい場合でも、
親の意思を反映した形でお金を使い続けられる点が、大きな特徴です。


2. なぜ障害のある子に家族信託が有効なのか

障害のある子の財産管理で、よく起こる不安は次のようなものです。

  • 大きなお金を一度に渡すと使い切ってしまわないか
  • 支援者や親族による使い込みが心配
  • 成年後見制度の制約が重い

家族信託では、
「生活費」「医療費」「余暇費用」など、使い道を限定できます。

そのため、
お金はあるのに使えない/逆に不安定に使われる
といった事態を防ぎやすくなります。


3. 家族信託の基本構造(委託者・受託者・受益者)

家族信託は、次の3者で成り立ちます。

委託者:財産を託す人(多くは親)
受託者:管理・支払いをする人(きょうだい等)
受益者:利益を受ける人(障害のある子)

よくある形は、
「親が委託者 → きょうだいが受託者 → 障害のある子が受益者」です。

受託者は、
自分の判断で自由に使えるわけではなく
信託契約書に書かれた目的に従って動く義務があります。


4. 契約までの流れ|いつ・何を決める?

家族信託は、思いつきで作るものではありません。
次の順番で整理していくのが一般的です。

  1. 親亡き後の生活像を整理する
  2. 誰が受託者に適しているか検討
  3. 信託する財産(預金・不動産など)を決める
  4. 使い道・支払方法・金額のルールを決める
  5. 専門家と契約書を作成
  6. 必要に応じて公正証書化

「何のために、誰の生活を守るのか」を最初に言語化することが、
成功のカギになります。


5. 費用の目安とランニングコスト

家族信託にかかる費用は、内容によって差がありますが、目安は次の通りです。

初期費用
・専門家報酬:数十万円〜
・公正証書費用(必要な場合):数万円
ランニングコスト
・基本的に不要(信託銀行と異なり、管理報酬は発生しないケースが多い)

成年後見制度のように、
毎年継続的な報酬が発生しない点は、
家族信託の大きなメリットです。


6. よくある失敗と対策

よくある失敗
・受託者の権限が広すぎる
・支出ルールが曖昧
・受託者が高齢で将来不安
・信託終了後の行き先を決めていない

特に多いのが、
「信頼しているから細かく決めなくていい」という考えです。

信託は人を信じる制度ではなく、仕組みで守る制度
だからこそ、書面で明確にすることが重要です。


7. 成年後見・遺言との違いと併用

家族信託は万能ではありません。

  • 身上監護(入院・施設契約など)はできない
  • すべての財産を自動管理できるわけではない

そのため実務では、
遺言・任意後見・死後事務委任と組み合わせて、
全体設計を行うケースが多くなっています。

「どれか一つ」ではなく、
家庭ごとの最適な組み合わせを考えることが大切です。


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