障害のある子の将来の支援体制づくり|基幹相談支援センター・地域資源の探し方

結論からお伝えします。
障害のある子の将来の支援体制づくりは、「基幹相談支援センター(or 区の相談窓口)を起点に、支援者チームを“見える化”しておくことで一気に進めやすくなります。
やることは大きく3つだけです。①相談の入口を決める/②サービス利用の手続きを整える/③緊急時に回る連絡網を作る――この順で進めると、親が元気なうちに「親頼み」から卒業できます。


目次


1. まず押さえる:基幹相談支援センターは“司令塔”になれる

基幹相談支援センター(自治体により名称や設置形態は異なります)は、障害のある方の暮らしを地域で支えるために、「相談」「支援機関の連携」「困難ケースの支援」などを担う“ハブ(結節点)”です。
親御さんが一人で事業所探しをしたり、役所・病院・施設を行ったり来たりしなくても、相談を起点に「次に行くべき場所」を整理できるのが最大の価値です。

ポイント:「基幹=全部やってくれる場所」ではなく、“適切な支援につなぐ設計図を一緒に作る場所”と考えると上手くいきます。


2. 支援体制づくりの全体像:3ステップで迷子にならない

支援体制は、いきなり「施設を決める」「後見を決める」から始めると遠回りになりがちです。おすすめは次の3ステップです。

ステップ① 入口(相談先)を固定する

  • 基幹相談支援センター、区市町村の障害福祉担当、地域の相談支援事業所など、まずは「ここに相談する」を決める
  • 家族の中でも「相談窓口担当」を決めて、情報が散らからないようにする

ステップ② “使える制度”を通す(サービス利用の土台づくり)

  • 福祉サービスを使うなら、支給決定・受給者証・計画(サービス等利用計画)などの流れを整える
  • 「必要になったら考える」ではなく、必要になる前に“通しておく”と選択肢が増える

ステップ③ 体制を回す(支援者チーム+緊急時の動線)

  • 生活の場(住まい)/日中活動/医療/金銭管理/家族の役割分担を“見える化”する
  • 「もし親が倒れたら」の連絡順と、書類の置き場所を決める

コツ:支援体制づくりは、“正解探し”ではなく“回る形づくり”です。完璧よりも「まず回る」状態を作るほうが、将来の安心につながります。


3. 基幹相談支援センターで相談するときの準備リスト

相談は、準備の質で成果が変わります。難しく考えず、「現状」「困りごと」「希望」を持っていけばOKです。

持っていくと話が早いもの

  • 障害者手帳・受給者証・医療証など(写しでも可)
  • 通院先・服薬・主治医の連絡先メモ
  • これまで利用した福祉サービス(通所、訪問、短期入所など)
  • 家族構成・同居状況(支援者になり得る人が誰か)
  • 「本人ができること/苦手なこと」簡単な箇条書き

相談で必ず聞くべき3つ

  • ① 相談支援専門員(計画相談)をつける必要があるか
  • ② 住まいの選択肢(グループホーム等)を検討するタイミング
  • ③ 緊急時(親の入院・死亡)の連絡先と動き方

※自治体・地域により、窓口名称や運用は異なります。まずは「この地域の入口はどこか」を確認してから動くと、無駄足が減ります。


4. 地域資源の探し方:住まい・日中活動・就労・医療をつなぐ

地域資源は数が多く、ネット検索だけだと「候補は増えるのに、決めきれない」状態になりがちです。
探し方は、“分野ごとに1つずつ押さえる”のがコツです。

① 住まい(グループホーム等)

  • 本人の特性(音・対人・金銭・服薬)と、支援の厚さ(夜間支援・見守り)をセットで確認
  • 空き待ちが前提のことも多いので、「今すぐ入る」ではなく「候補を持つ」ところから

② 日中の居場所(生活介護・就労系など)

  • 通所で生活リズムが整うと、住まい選びも安定しやすい
  • 見学時は「支援内容」だけでなく、「通い続けられる距離・送迎・昼食」も重要

③ 医療(通院・入退院時の動線)

  • 主治医/薬局/緊急連絡先を固定しておくと、親亡き後の引継ぎがラク
  • 入院時に求められやすい“同意・支払い・身元保証”の論点も、事前に洗い出す

④ 生活の実務(お金・契約・支払い)

  • 通帳・年金・給付金・家賃・光熱費など、“月次で必ず回る支払い”から仕組み化
  • 「誰が管理するか」より「止まらない仕組み」にするとトラブルが減る

実務の近道:候補探しは、相談支援専門員(計画相談)と一緒に進めると、地域のリアル(空き状況・相性・支援の強み)が入りやすくなります。


5. 「支援者チーム」を組むコツ:役割分担と“決め方”

親亡き後に強い家庭は、支援者が多いというより、「役割が決まっていて、連携できる」という特徴があります。

支援者チームの基本構造(例)

  • 入口(司令塔):基幹相談支援センター/区の窓口/相談支援事業所
  • 日常支援:通所先、ヘルパー、グループホーム、見守り
  • 医療:主治医、薬局、訪問看護など
  • 家族(きょうだい含む):連絡窓口・同意が必要な場面の担当
  • 実務(お金・契約):家族/支援口座/後見・信託等(必要に応じて)

揉めにくい決め方

  • 「誰が何をするか」を、“頻度”で分ける(毎月の支払い/年1の更新/緊急時のみ)
  • きょうだいには「主担当」より、“連絡担当” “年1の更新担当”など軽い役割から
  • できれば年1回、支援者と一緒に「見直し日」を作る(状況は変わる前提でOK)

6. 緊急時に強い体制へ:倒れたら誰が何をする?

「支援体制を作ったつもり」でも、緊急時に連絡が回らないと機能しません。
最低限、次の3点だけは先に固めておくと安心です。

緊急時の必須3点
① 連絡順(誰→誰→どこ)
② 必要情報の置き場所(紙1枚でもOK)
③ 同意・支払いが必要な場面の担当者

紙1枚にまとめるなら(最低限)

  • 本人情報(氏名・生年月日・住所・特性・NG対応)
  • 主治医/薬/アレルギー/通院先
  • 相談先(基幹・区窓口・相談支援専門員)と電話番号
  • 通所先/住まい(GH等)/緊急連絡先
  • お金の流れ(年金・手当の入金口座/家賃・光熱費の支払い方法)

この「1枚」があるだけで、親が不在のときでも支援者が動きやすくなります。作り込みより、まず作るが正解です。


7. 今日からできるチェックリスト(保存版)

今日(30分)

  • 相談の入口を決めた(基幹/区窓口/相談支援)
  • 本人の「できる/苦手」を箇条書きにした
  • 主治医・薬・連絡先をひとまとめにした

今週

  • 基幹相談支援センター(または相談窓口)に連絡し、初回相談の段取りをつけた
  • 通所・住まいの“候補”を2〜3つ挙げた(見学は後でOK)
  • 緊急時の連絡順を家族で仮決めした

今月

  • 計画相談(相談支援専門員)をつける必要があるか確認した
  • お金の流れ(入金・支払い)を“月次”で整理した
  • 年1回の見直し日(家族会議)をカレンダーに入れた

ひとこと:将来設計は、「決めること」より「回る形にすること」が重要です。回り始めれば、必要な制度(後見・信託など)も“必要なときに必要なだけ”選びやすくなります。


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