福祉サービスの支給量が足りない|相談支援と連携し支給決定を見直した事例

障害福祉サービス 支給量 支給決定 相談支援 見直し

福祉サービスの支給量が足りない|相談支援と連携し支給決定を見直した事例

「ヘルパー(居宅介護)が足りない」「生活介護の日数が増やせない」「ショートステイが取れず家族が限界」——。
支給量(支給決定された時間・日数)が実態に合わないと、家庭が“回らない”状態になります。

最初に結論(支給量を見直すときの勝ち筋)
① 「困っている」だけでなく、“不足による具体的なリスク”を数字で示す
② 相談支援と一緒に「サービス等利用計画(案)」を作り、支給決定の根拠を整える
③ モニタリング記録(実績・欠員・家族負担)を積み上げ、見直しのタイミングで提出
④ 断られても終わりではない:理由を特定し、再設計(必要なら不服申立ても検討)

※本記事はモデル事例です。サービス種別や運用(区分・上限・提出様式)は自治体で差があります。最終判断は自治体の支給決定に従います。

0. そもそも「支給量が足りない」とは何が起きている?

支給量が足りないとき、現場では次のどれか(または複数)が起きています。

分類 起きていること 解決の方向
支給決定が少ない 時間・日数の枠がそもそも足りない 支給決定の見直し(根拠の提出)
枠はあるが使えない 事業所の人員不足で入れない/空きがない 事業所探し・組み合わせ再設計(代替提案)
計画が実態に合わない 利用計画が“理想”で、現実の困りごとが反映されていない 計画(案)の作り直し
家庭負担が見えていない 家族が無理をして回しているため、行政に“足りている”と見える 家族負担の可視化(記録・リスク)

実務のポイントは、「足りない」と感じる原因を一つに決めつけず、“支給決定”と“実際に使えるか”を分けて整理することです。

1. 解決事例:相談支援と連携→根拠を整えて支給決定を見直し

個人が特定されないよう調整したモデル事例です。結論から言うと、「もっとください」ではなく、不足が生むリスクと必要量を“計画+記録”で示したことが転機でした。

状況

  • 本人:知的障害+強いこだわり。見守りがないと事故・トラブルが起きやすい
  • 家族:介護・見守りの時間が増え、仕事や体調に限界
  • サービス:居宅介護(ヘルパー)と短期入所(ショート)を組みたいが支給量が足りない
  • 現場:家族が無理をして埋めていたため、行政からは“回っている”ように見えていた

やったこと(相談支援と連携)

  1. 不足の見える化:1か月、家族負担・事故リスク・欠員(入れなかった日)を記録
  2. 生活の崩れを言語化:睡眠・食事・服薬・金銭・外出のトラブルを具体例で整理
  3. 相談支援が計画(案)を再設計:必要量・頻度・目的(安全確保/家族休息)を明確化
  4. 窓口へ提出:計画(案)+記録を添えて支給決定の見直しを申出

結果:不足の根拠が整理され、支給決定が実態に近づき、家庭が回る状態に戻りました。

2. まずやること:不足を“見える化”するチェックリスト

支給量の見直しは、「数字」と「具体例」があるほど強くなります。
まずは2週間〜1か月でいいので、現状を記録してみてください。

チェックリスト:今の「足りない」を分解する

  • 不足は何?(時間/日数/回数/夜間/休日など)
  • 足りないと何が起きる?(事故・徘徊・金銭トラブル・家族の休職など)
  • 家族が埋めている量(週○時間、夜間○回、付き添い○回など)
  • 入れなかった実績(ヘルパーが入れなかった日、ショートが取れなかった回数)
  • 支援者が必要な理由(本人の特性、医療、行動障害、対人困難など)
  • 代替策は?(他事業所、サービス組み替え、日中活動の変更)

チェックリスト:記録する項目(短くてOK)

  • 日付・時間帯(朝・夕・夜など)
  • 困りごと(例:外出で混乱、買い物で衝動、家事が止まる)
  • 結果(例:事故寸前、近隣トラブル、家族が仕事を休む)
  • 誰が対応(家族・支援者・事業所)
  • サービスが入れた/入れない(欠員・断られた理由)

3. 支給量見直しで通りやすい「根拠」の作り方(数字・記録・リスク)

行政に伝えるべきは「大変です」ではなく、必要量の根拠です。 次の3つが揃うと、判断材料として強くなります。

根拠の3点セット

要素 具体例 ポイント
① 数字 不足時間(週○時間)/欠員回数(月○回)/家族負担(夜間○回) 量で示す
② 記録 困りごとの発生頻度、危険・トラブル、対応者 短文でOK、継続性が力
③ リスク 事故・徘徊・服薬崩れ・家族の就労継続困難 “起きた事実”+“起きそうな理由”

行政に伝える文章のコツ(そのまま使える言い回し)

次のように「事実→結果→必要量」でまとめると伝わりやすいです。

  • 事実:「週に○回、夕方以降に混乱が起き、見守りが必要」
  • 結果:「見守りがないと事故・近隣トラブルが起き、家族が対応している」
  • 必要量:「夕方〜夜の見守りを週○回(計○時間)確保したい」

「希望」ではなく、「安全確保」「生活維持」「家族の就労・休息」の目的が明確だと通りやすい傾向があります。

4. 相談支援とどう連携する?(伝えるべき情報・役割分担)

支給量の見直しは、相談支援専門員と連携できると進めやすくなります。
相談支援は「計画」を作りますが、計画に“材料”を渡すのは家庭側です。

役割分担(うまくいく形)

担当 やること ポイント
家庭 不足の記録、欠員の事実、家族負担、具体例 材料提供が最重要
相談支援 計画(案)の設計、サービスの組み合わせ、窓口との調整 制度の“言語”に翻訳してくれる
事業所 提供可能時間、欠員状況、支援の必要性の所見 現場の根拠(入れない現実)

相談支援に渡すと強いもの
①1か月の簡易記録(A4 1〜2枚)/②欠員・断られた回数③家族の限界ライン(夜間対応、仕事を休んだ等)

5. 手続きの流れ:誰が・いつ・どこで・何を・どの書類で

ここは“型”として覚えてください。自治体で名称が違っても、やることは概ね同じです。

  1. STEP 1 不足の整理(2週間〜1か月の記録)
    誰が:家族(窓口を一本化)+可能なら支援者
    何を:不足の種類、欠員、家族負担、事故リスクを記録
  2. STEP 2 相談支援へ共有→計画(案)の見直し
    どこで:相談支援事業所(面談)
    書類:記録(A4 1〜2枚)、欠員メモ、困りごとの具体例
  3. STEP 3 必要量の根拠を“数字”で確定
    例:夕方の見守り週○回、ショート月○回、移動支援週○回…など。
    「目的(安全・家族休息)」もセットで。
  4. STEP 4 自治体窓口へ「支給決定の見直し」を相談・申出
    どこで:市区町村の障害福祉担当窓口
    書類:計画(案)や関連書類(自治体指定に従う)
  5. STEP 5 結果が出たら、運用を回す(モニタリングで再検討)
    まだ足りない場合は、理由を確認し「どこが足りないか」を再設計します。

6. よくある失敗(感情だけ/事業所任せ/家族が倒れる)

  • 失敗①:「大変です」だけで、数字・具体例がない
  • 失敗②:家族が無理して埋め続け、行政に“足りている”と見える
  • 失敗③:事業所が空いていないのに、支給量だけ増やそうとして詰む
  • 失敗④:相談支援に材料を渡さず「計画が薄い」まま提出してしまう
  • 失敗⑤:断られた理由を取らずに諦める(再設計できない)

家庭が限界になる前に
「支援が足りない」は、本人の問題ではなく制度設計(支給決定とサービス配置)の問題であることが多いです。
早い段階で相談支援と連携し、記録を根拠に“見直しの土台”を作りましょう。

7. Q&A(区分が低い?/空きがない?/断られたら?)

Q1. 「障害支援区分」が低いから支給量が出ないと言われました。

区分は影響しますが、区分だけで決まるわけではありません。
まずは「何が足りないのか(時間帯・目的)」「不足で何が起きるのか(リスク)」を記録で示し、計画(案)を厚くするのが現実的です。
区分の再認定が必要な場合もあるため、相談支援と自治体窓口に“次の一手”を確認してください。

Q2. 支給量が増えても、事業所に空きがありません。

この場合は「支給決定の問題」ではなく、供給(事業所)の問題です。
相談支援と一緒に、複数事業所の組み合わせ、時間帯の再設計、代替サービス(例:日中活動の組み替え、短期入所の候補拡大)を検討しましょう。
「空きがない事実」自体も記録に残すと、次の見直し材料になります。

Q3. 見直しをお願いしたけど、増えませんでした。どうすれば?

まず「増えなかった理由」を確認してください(根拠不足/区分/予算枠/代替提案が必要等)。
理由が分かれば、次の手は打てます。記録期間を延ばす、計画(案)を作り直す、事業所の所見を添えるなど、再設計が可能です。
それでも納得できない場合は、不服申立て等の検討も含め、期限や手続きの確認が必要になります。

Q4. 家族が疲弊しています。最優先で増やすべき支援は?

家庭によりますが、実務では「事故リスクが高い時間帯」「家族の休息(レスパイト)」を優先して組むと立て直しやすいです。
まずは「どの時間が一番危険/一番きついか」を記録で特定し、そこに支援を集中させる設計を相談支援と一緒に作りましょう。

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