家計が回らない|年金・手当・負担上限を整理して月次資金計画を作った事例

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家計が回らない|年金・手当・負担上限を整理して月次資金計画を作った事例

「赤字の原因がよく分からない」「医療費やサービス費が月によってブレる」「急な出費が来ると崩れる」——障害のある子(成人も含む)を支える家計では、よく起きる悩みです。
ここで大事なのは、節約テクニックよりも“制度を家計に組み込む設計”です。年金・手当を「収入」として入れ、医療・福祉サービスの「負担上限」を押さえ、月次の資金計画(キャッシュフロー)に落とし込むと、家計は驚くほど安定します。

最初に結論
家計が回らないときは、①収入の取りこぼし②上限(天井)の見落とし③臨時費の未計上のどれか(または複合)が原因です。
本記事のゴールは、「毎月いくらなら安心して使えるか」が分かる月次資金計画を作ることです。

※支給額・上限額・要件は状況(所得区分、世帯の扱い、自治体運用等)で変わります。この記事は「考え方と実務手順」に絞って解説します。

0. 家計が回らない“本当の理由”を3つに分解する

家計が苦しいとき、原因は感覚では見えません。まずは次の3つに分解します。

  • 理由① 収入の取りこぼし:年金・手当・減免が「あるのに使えていない」「申請していない」
  • 理由② 上限(天井)の見落とし:医療や福祉サービス費に“上限”があるのに、家計が毎月ビクビクしている
  • 理由③ 臨時費の未計上:更新費、通院の交通費、家電、嗜好品、冠婚葬祭などが“突然”になっている

この3点が見えると、節約より先に「制度で安定させる」動きができます。

1. 解決事例:制度を整理して月次資金計画を作り、赤字を止めた

個人が特定されないよう調整したモデル事例です。ポイントは「我慢」ではなく、制度と家計を“同じ表”で管理したことでした。

状況(困っていたこと)

  • 本人:知的障害+精神症状の波があり、通院・服薬が継続
  • 支出:医療費、通所の交通費、日用品、時々の衝動買いが重なり赤字
  • 家族:家計簿はつけているが、制度の整理が追いつかない
  • 不安:来月の支払いが読めず、貯金が減っていく

やったこと(実務)

  1. 収入の棚卸し:年金・手当・就労収入・助成を「確実に入る金額」だけで整理
  2. 上限の確認:医療(助成/自立支援など)と福祉サービスの“負担上限”を確認し、家計の天井を設定
  3. 月次資金計画:固定費/変動費/臨時費に分け、毎月使って良い上限(生活費枠)を決めた
  4. 運用ルール:お金の出入りを「週1共有」、臨時費は“積立”として先に確保

結果:医療費・サービス費の不安が減り、毎月の赤字が止まりました。「使って良い範囲」が分かるため、家族のストレスも大きく軽くなりました。

2. まずは棚卸し:収入(年金・手当・就労)を1枚にまとめる

収入は「期待」ではなく、今確実に入っている金額を基準にします。増える可能性(工賃が増える等)は、別枠の“プラスα”で扱うと計画が崩れません。

収入の柱

  • 障害年金(基礎/厚生など)
  • 各種手当(児童扶養・福祉手当等、対象に応じて)
  • 就労収入(一般就労、A型賃金、B型工賃など)
  • 家族からの仕送り(ある場合)

“現金が減る”のを止める支援

  • 医療費助成・自立支援など(自己負担を減らす)
  • 障害福祉サービスの利用者負担(上限月額の考え方)
  • 交通・公共料金・税金の減免(家計の固定費を下げる)

実務のコツ
収入と減免をごちゃ混ぜにせず、「入ってくるお金」「出ていくお金を減らす仕組み」を分けて整理すると、家計の設計が早いです。

収入整理シート(1枚でOK)

区分 内容 入金日 月額 メモ
年金 障害年金(種類) 例:隔月/指定日 例:○○円 更新時期の目安、診断書の注意点
手当 該当する手当 例:月/隔月 例:○○円 所得制限・更新・現況届
就労 賃金/工賃 例:毎月末 例:○○円 増減がある場合は“別枠”
その他 仕送り等 例:○○円 任意・継続性に注意

3. 次に天井を決める:医療・福祉の“負担上限”を家計に入れる

家計が不安定な家庭ほど、支出を「実費で青天井」と思い込みがちです。
しかし実務では、医療や福祉には“負担の天井(上限)”があるケースが多く、ここを押さえると、月の見通しが立ちます。

上限を押さえるべき代表領域

  • 医療:医療費助成/自立支援医療(精神通院等)/高額療養費 など
  • 福祉サービス:障害福祉サービスの利用者負担(原則1割+所得に応じた上限月額)
  • 住まい・生活:グループホーム・施設等は「家賃/食費/日用品」など別枠が混ざるため、内訳で整理

※上限の“仕組み”は共通ですが、窓口・確認方法・運用は自治体や制度ごとに異なります。

「上限」を家計に入れる方法(超シンプル)

  1. 医療・福祉の支出を、「上限がある支出」「上限がない支出」に分ける
  2. 上限がある支出は、“最大でもこの金額”として月の天井を置く
  3. 上限がない支出は、毎月の枠(上限)を決める(例:嗜好品、外食、サブスク等)

4. 月次資金計画の作り方:固定費/変動費/臨時費の3箱に入れる

家計簿を細かく付けなくても、支出を3箱に入れるだけで「赤字の犯人」が見えます。
さらに、臨時費を先に積み立てると、赤字の再発が減ります。

① 固定費(毎月ほぼ一定)

  • 家賃(GHの居住費含む)
  • 光熱費・通信費
  • 保険・サブスク(必要最小限)
  • 通所・通勤の定期的交通費

② 変動費(増減する)

  • 食費(定額でない場合)
  • 日用品・衣類
  • 医療費(助成後の自己負担)
  • 趣味・外出・交際費

③ 臨時費(年に数回ドンと出る)

  • 更新・申請関連(診断書費用等が出ることも)
  • 家電・スマホ買い替え
  • 冠婚葬祭・突発の移動費
  • 住まい関連(入居準備、家具等)

月次資金計画の“最終ゴール”

(月の収入)-(固定費)-(臨時費積立)= 毎月使ってよい生活費枠
生活費枠の中で、変動費を回します。

月次資金計画(テンプレ)

区分 内容 月額(目安) 決め方
収入 年金+手当+就労(確実分) ○○円 確実に入る金額だけ
固定費 家賃・通信・保険・定期交通 ○○円 引落明細で確定
上限支出 医療・福祉(上限があるもの) 最大○○円 窓口で上限を確認
臨時費積立 更新・家電・移動費など ○○円 年の見込み÷12
生活費枠 日用品・食費・趣味など ○○円 残りを“使ってよい枠”にする

実務の小技(崩れにくい運用)
・生活費枠は「週割り」にして、週の残額が見えるようにする
・臨時費は“別口座”に逃がす(使い込み防止)
・衝動買いがある場合は「現金の上限」または「プリペイド枠」を決める

5. 手続きの流れ:誰が・いつ・どこで・何を・どの書類で

月次資金計画は、制度の“確認”がセットです。ここを押さえると迷いません。

  1. STEP 1 家計の現状を“3箱”で見える化
    誰が:親(同居家族)+可能なら本人+支援者(相談支援等)
    何を:固定費・変動費・臨時費をざっくり分類(まずは1か月分でOK)
    書類:通帳/口座明細、クレカ明細、領収書(ある範囲で)
  2. STEP 2 収入の棚卸し(年金・手当・就労)
    どこで:手元資料+必要なら窓口確認
    何を:「確実に入る金額」と「変動する金額」に分ける
  3. STEP 3 “負担上限”を確認(天井を決める)
    どこで:自治体窓口(障害福祉課等)/医療助成の窓口/健康保険関連の確認先 など
    何を:医療・福祉の上限、世帯/所得区分の扱い、更新の有無
    書類:受給者証、保険証、手帳、所得関連(求められる場合)
  4. STEP 4 月次資金計画を作成(“使ってよい枠”を決める)
    何を:収入-固定費-臨時費積立-(上限支出の想定)=生活費枠
  5. STEP 5 運用開始(週1で見直し、月1で更新)
    何を:週の残額確認、臨時費口座の積立、更新時期のチェック

6. 注意点:世帯・所得区分・更新漏れで“上限”が崩れる

ここだけは要注意
上限や助成は、「世帯の扱い」「所得区分」「更新」で結果が変わることがあります。
計画が崩れやすいのは、制度が悪いのではなく“前提が変わったのに家計が更新されていない”ときです。

  • 更新漏れ:自立支援医療や医療助成など、期限が切れると自己負担が一気に増えることがある
  • 所得区分の変動:就労や同居状況の変化で区分が変わり、上限や助成に影響することがある
  • 世帯の考え方:制度ごとに“世帯”の扱いが異なることがあり、思い込みでズレる
  • 施設・GHの内訳:「福祉の負担上限」と「家賃/食費等」は別枠で、合算しないと見誤る

対策
家計の月次計画と一緒に、「更新カレンダー(年1回点検)」を作ると、負担増の事故が減ります。

7. よくある失敗(赤字の再発パターン)

  • 失敗①:年金・手当を“なんとなく”で扱い、家計に入れていない(残高だけ見て不安が増える)
  • 失敗②:上限がある支出を把握せず、医療費やサービス費に怯えて生活費を削りすぎる
  • 失敗③:臨時費が毎回「突発」扱いで、結局クレカ・借入・立替が増える
  • 失敗④:本人の衝動買い対策がなく、必要な支払いが後回しになる
  • 失敗⑤:更新漏れで助成が切れ、翌月に一気に家計が崩れる

再発を止める最小セット
①収入表(確実分)②上限メモ③臨時費積立——これだけで家計の安定度は大きく上がります。

8. Q&A(年金と手当は併給?上限はどう確認?貯蓄は?)

Q1. 障害年金と手当は、同時にもらえるものですか?

併給できるケースもありますが、制度・要件・所得制限の有無がそれぞれ異なります。
実務では「年金をもらっているから手当は無理」と決めつけず、“該当しそうな手当を列挙して窓口で確認”するのが確実です。

Q2. 負担上限は、どこで確認できますか?

ざっくり言うと、福祉の上限は障害福祉の窓口医療の上限・助成は医療助成/保険関連の窓口で確認します。
ただし制度が複数またがると混乱しやすいので、相談支援専門員に同席してもらい、家計の目的(上限を家計に入れたい)を先に伝えると進みやすいです。

Q3. 貯蓄はどれくらい必要ですか?

“正解の金額”より、臨時費を吸収できる仕組みが重要です。
まずは「臨時費積立(毎月)」を作り、次に「生活が止まる支払い(家賃・医療・施設費)」の予備資金を確保する順が現実的です。

Q4. 本人のお金の使い方が不安で、計画が守れません。

計画は“根性”で守るものではなく、仕組みで守るものです。
例:引落中心にする/臨時費は別口座/現金やプリペイド枠を上限設定/支援者と週1で残額確認。
それでも難しい場合は、支援者と一緒に「金銭管理のルール化」を進めると安定します。

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