自宅に戻れなくなったら、
家や荷物をどうする?
すぐ処分するのではなく、
今後の暮らしから考える。
持ち家・賃貸・家財・郵便・公共料金・空き家・ペット。
自宅を離れた後の手続きを整理します。
入院や施設入居で自宅に戻れなくなっても、 すぐに家を売ったり、荷物をすべて処分したりする必要があるとは限りません。 まず、今後自宅へ戻る可能性があるのか、 持ち家か賃貸か、 誰が手続きをできるのかを確認します。 そのうえで、自宅・家財・契約・ペットなどを一つずつ整理します。
自宅に戻れなくなると、何を考える必要がある?
長期入院や施設入居では、 医療や介護とは別に、 今までの自宅をどうするのかという問題が出てきます。
施設へ入ったら、自宅はすぐ売らないといけない?
いいえ。 施設へ入ったことだけで、 自宅をすぐ売却しなければならないわけではありません。
将来自宅へ戻る可能性、 施設費、 自宅の維持費、 財産全体の状況などを踏まえて判断します。
「もう住まないかもしれない」 と 「今すぐ処分した方がよい」 は同じではありません。
持ち家は「残す・売る・貸す」を分けて考える
判断能力が低下している場合、自宅を勝手に売れる?
本人が契約内容を理解して判断できる場合には、 本人が自宅の売却などを判断することが基本です。
一方で、 本人の判断能力が低下しているからといって、 親族が当然に本人名義の不動産を売却できるわけではありません。
法定後見制度を利用している場合、 成年後見人等が本人の居住用不動産を売却するなどの 「処分」を行う際には、 家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。
施設へ入る前に住んでいた自宅や、 将来戻る可能性のある住居なども対象になり得ます。 実際の処分は、本人の判断能力や後見の状況を確認して進めます。
賃貸住宅なら、施設入居だけで契約は終わる?
施設へ入ったことだけで、 賃貸借契約が当然に終了するとは限りません。
契約書を確認し、 解約の申出、 荷物の搬出、 鍵の返却、 明渡しなどを進めます。
また、 原状回復についても、 契約内容や実際の使用状況を確認する必要があります。
誰がいつ解約手続きを行うのかまで確認しておくことが大切です。
空き家のまま残す場合は「管理する人」を決める
持ち家をすぐに売らず、 当面空き家として残す方法もあります。
ただし、 誰も住んでいない家でも、 建物や庭などの管理は必要です。
荷物は全部捨てる必要はありません
自宅へ戻らないことが決まった場合でも、 家財を急いですべて処分する必要はありません。
まず、 大切な書類、 通帳や契約関係書類、 思い出の品などを確認します。
ペットがいる場合は早めに考えておく
自宅へ戻れなくなったとき、 特に急いで対応が必要になる可能性があるのがペットです。
施設によっては、 ペットと一緒に暮らせない場合があります。
家族や友人、 ペットホテル、 新しい飼い主など、 状況に応じた預け先を元気なうちから考えておくと安心です。
具体例|施設入居後、自宅へ戻らないことになった場合
入院後に身体状況が変わり、 そのまま介護施設へ入居することになったケースです。
自宅へ戻る予定はなくなりましたが、 すぐ売却するのではなく、 まず家財、 重要書類、 維持費、 不動産の状況を確認します。
そのうえで、 自宅を維持するのか、 売却するのか、 誰が必要な手続きをするのか を整理します。
自宅を離れるときに確認したい9項目
- 自宅へ戻る可能性があるか考えている
- 持ち家か賃貸かを確認している
- 持ち家の維持費を把握している
- 賃貸の場合の解約方法を確認している
- 家財や重要書類を整理している
- 郵便・公共料金などを確認している
- 空き家になる場合の管理方法を考えている
- ペットがいる場合の預け先を考えている
- 自分で手続きできなくなった場合に誰が対応するか考えている
自宅を処分しない方がよい場合もあります
「施設へ入るから家を売る」 とすぐに決める必要はありません。
自宅へ戻る可能性や、 財産状況、 施設費、 家族関係などによって、 適切な選択は変わります。
これからどこで暮らすのか、 自宅を残す意味があるのか、 誰が管理できるのかを整理してから判断します。
亡くなったら、自宅や契約はどうなる?
自宅や荷物の問題を整理すると、 次に考えておきたいのが 「亡くなった後、誰が手続きをするのか」 です。
葬儀、 納骨、 賃貸住宅、 公共料金、 携帯電話、 家財など、 死亡後にはさまざまな手続きが残ります。
次の「⑥ 亡くなったら?」で詳しく整理します。
自宅・家財・空き家でよくある質問
Q. 施設へ入ったら持ち家はすぐ売った方がよいですか?
必ずしもそうとは限りません。 自宅へ戻る可能性、維持費、施設費、財産状況などを踏まえて判断します。
Q. 認知症の親族の家を家族が売却できますか?
家族であるという理由だけで、 本人名義の不動産を当然に売却できるわけではありません。 本人の判断能力や後見制度の利用状況などによって手続きが異なります。
Q. 成年後見人なら自由に自宅を売却できますか?
本人の居住用不動産を成年後見人等が処分する場合には、 家庭裁判所の許可が必要になることがあります。 施設入居前に住んでいた自宅なども対象になり得ます。
Q. 施設へ入れば賃貸住宅は自動的に解約されますか?
施設へ入ったことだけで、 賃貸借契約が当然に終了するとは限りません。 契約内容を確認し、 必要な解約・明渡し手続きを進めます。
「家をどうするか」を急いで決める必要はありません
まずは今後の暮らしと、
自宅へ戻る可能性を整理してみましょう。
そのうえで必要な手続きだけを考えます。
裁判所 「成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分についての許可」
国土交通省 「賃貸住宅標準契約書」
国土交通省 「空き家対策 特設サイト」
国土交通省 「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」