7つのもしも ⑥

亡くなったら、
誰が手続きをする?

葬儀だけでは終わらない、
亡くなった後の手続きを考えておく。

葬儀・火葬・納骨・役所・住居・契約・家財。
死亡後に残る事務を整理します。

結論

人が亡くなった後には、 葬儀や火葬だけでなく、 納骨、役所、住居、公共料金、携帯電話、家財など、 多くの手続き が残ります。 頼れる家族がいない場合には、 「誰が何をするのか」を元気なうちに整理しておくことが大切です。

亡くなった後には、どんな手続きが残る?

「亡くなった後のこと」というと、 葬儀やお墓を思い浮かべる方が多いかもしれません。

実際には、 葬儀の前後から、 住まいや契約に関する手続きまで幅広い事務が残ります。

死亡届・火葬 死亡届や火葬に必要な手続きを進めます。
葬儀 葬儀の形式、規模、依頼先などを決めます。
納骨・供養 お墓、納骨堂、樹木葬など、本人の希望に沿って整理します。
住居 賃貸住宅の明渡しや、持ち家の管理などを確認します。
各種契約 電気・ガス・通信・携帯電話など、必要な契約手続きを確認します。
家財・遺品 家の中に残った物を、保管・引渡し・処分などに分けます。

死亡届は誰が出す?

死亡届には、 法律上、届出人となることができる人が定められています。

原則として、 死亡の事実を知った日から7日以内 に届出が必要です。

また、 火葬を行うには、 死亡届とあわせて火葬に必要な許可の手続きを進めます。

実際には葬儀社が提出をサポートする場合もありますが、 「自分の場合は誰が届出人になるのか」 を確認しておくと安心です。

葬儀・火葬・納骨は、それぞれ別のことです

1
葬儀 家族葬、直葬など、 本人の希望や状況に応じて考えます。
2
火葬 火葬場の手配や、 必要な行政上の手続きを進めます。
3
納骨・供養 遺骨をどこへ納めるのか、 どのような供養を希望するのかを整理します。

家族がいない場合、誰が葬儀や納骨をする?

親族や友人など、 本人の希望を知っていて実際に対応できる人がいるのであれば、 その方へお願いできる場合があります。

一方、 誰にも頼むことが難しい場合には、 生前に死後の事務をお願いする方法を検討できます。

大切なのは「親族がいるか」だけではありません。

実際に葬儀・納骨・住居・契約などを 誰が対応できるのかを確認することが重要です。

死後事務委任とは?

死後事務委任は、 自分が亡くなった後に必要となる事務について、 生前に依頼する相手と内容を決めておく契約です。

依頼する内容は契約によって異なりますが、 葬儀・納骨、 住居、 各種契約、 家財などについて定めることがあります。

葬儀・火葬 本人が希望した内容に沿って必要な手続きを行います。
納骨 指定された墓地や納骨堂等への納骨を進めます。
住居関係 契約内容に応じて、賃貸住宅や家財等の対応を進めます。
契約関係 公共料金・通信等について、契約内容に応じた手続きを進めます。

死後事務委任と遺言は役割が違います

ここは非常に重要です。

死後事務委任 葬儀、納骨、住居や契約など、 亡くなった後に残る事務 を誰へ任せるか決めます。
遺言 預貯金や不動産など、 財産を誰へ承継させるか などを定めます。
死後事務委任だけで、財産の行き先を自由に決められるわけではありません。

財産の承継は、 遺言や相続の問題として別に整理する必要があります。

自宅や家財は、亡くなった後どうなる?

賃貸住宅の場合には、 荷物を運び出したり、 明渡しに向けた対応が必要になることがあります。

持ち家の場合は、 その不動産を誰が相続するのか、 その後どう管理するのかという問題があります。

また、 家財の中には本人の財産として相続の対象となる物もあるため、 何でも自由に処分できるとは限りません。

「部屋を片付けること」と「遺産を処分すること」は分けて考えます。

相続人や遺言の内容、 死後事務契約の範囲などを確認して進めることが大切です。

携帯電話・ネット・公共料金も確認する

亡くなった後も、 さまざまな契約が残っています。

携帯電話 契約会社や端末、料金の状況を整理します。
インターネット 回線やプロバイダー等の契約を確認します。
電気・ガス・水道 住居の状況に応じて停止等の手続きを確認します。
サブスクリプション 定期的に料金が発生しているサービスを確認します。

デジタル遺品も忘れない

スマートフォンやパソコンの中には、 写真だけでなく、 契約・支払い・連絡先などの情報が保存されていることがあります。

また、 SNS、 クラウドサービス、 ネット通販など、 オンライン上だけに存在するサービスもあります。

パスワードそのものを無防備に残すのではなく、 利用しているサービスの一覧や、 重要な情報の所在 を分かるようにしておく方法があります。

ペットが残ったら?

ペットを飼っている場合には、 自分が亡くなった直後から世話をする人が必要になります。

新しい飼い主、 一時的な預け先、 餌、 持病、 動物病院などを整理しておくと安心です。

ペットそのものや、 飼育に必要なお金をどのように準備するかについては、 遺言等も含めて個別に考える必要があります。

具体例|一人暮らしで頼れる親族が遠方の場合

76歳・一人暮らし・子どもなし

兄弟はいますが高齢で遠方に住んでおり、 葬儀や自宅整理などをすべてお願いすることは難しいケースです。

まず、 葬儀や納骨について本人の希望を整理します。

そのうえで、 親族にお願いできることと、 外部へ依頼したい死後事務を分けます。

さらに、 預貯金や不動産の承継については 死後事務とは別に遺言を検討する という考え方ができます。

元気な今に確認したい10項目

  • 葬儀について希望を考えている
  • 火葬後の遺骨をどうするか考えている
  • 墓・納骨堂などの希望を考えている
  • 亡くなったことを連絡してほしい人を整理している
  • 賃貸・持ち家の状況を整理している
  • 公共料金や通信等の契約を把握している
  • 重要な家財や書類の所在を整理している
  • 利用しているデジタルサービスを把握している
  • ペットがいる場合、亡くなった後の世話を考えている
  • 死後の事務を誰に頼むか考えている

死後事務委任が必要ない場合もあります

家族や親族などが、 本人の希望を理解しており、 葬儀・納骨・住居等の手続きを対応できる場合には、 新しく死後事務委任契約を結ぶ必要がないこともあります。

一方で、 誰にも頼めない事務や、 家族に負担をかけたくない事務がある場合には、 死後事務委任を検討する方法があります。

「全部任せるか、何も頼まないか」の二択ではありません。

家族にお願いすることと、 専門家などへ任せることを分けて考えることができます。

財産が残ったら、誰に渡る?

死亡後の事務とは別に、 最後に考える必要があるのが 「残った財産を誰へ承継させるのか」 です。

遺言がない場合に誰が相続人になるのか、 財産を特定の人や団体へ残したい場合はどうするのか、 遺言執行者を決めた方がよいのかなどを整理します。

次の「⑦ 財産が残ったら?」で詳しく解説します。

死後事務でよくある質問

Q. 家族がいなくても葬儀や納骨の準備はできますか?

生前に自分の希望を整理し、 実際に対応できる人や事業者へ必要な事務を依頼する方法があります。 誰に何を任せるのかを具体的にしておくことが大切です。

Q. 死後事務委任があれば遺言はいりませんか?

役割が異なります。 死後事務委任は主に死亡後の事務を依頼する契約であり、 財産の承継は遺言や相続の問題として別に整理します。

Q. 死後事務をお願いすれば、家の中の物を全部処分できますか?

家財の中には相続財産となる物もあります。 死後事務委任の契約内容だけでなく、 相続人や遺言の内容なども確認して対応する必要があります。

Q. 家族がいる場合でも死後事務委任は利用できますか?

家族がいる場合でも、 遠方・高齢・疎遠などの事情から一部の事務を他の人へ依頼したいケースはあります。 家族にお願いする範囲と、それ以外の範囲を分けて考えることができます。

亡くなった後のことを、全部一度に決める必要はありません

まずは葬儀・納骨・自宅について、
「誰にお願いしたいか」を整理してみましょう。

参考:
消費者庁 「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」
日本公証人連合会 「死後事務委任契約」
横浜市 「死亡届」
法務省・法務局 「自筆証書遺言書保管制度」