おひとり様の遺言は、
本当に必要?
「誰に財産を残したいか」だけでなく、
「誰が手続きをするか」まで考えます。
遺言が必要な人・必要ない人、 公正証書遺言と自筆証書遺言の違いまで、 初めての方にも分かりやすく整理します。
おひとり様だからといって、 全員に遺言が必要なわけではありません。
ただし、 法律上の相続人とは違う人へ財産を残したい場合や、 兄弟姉妹・甥姪が相続人になる場合、 死亡後の相続手続きをスムーズにしたい場合には、 遺言を作る意味が大きくなります。
遺言がないと、財産はどうなる?
遺言がない場合、 原則として法律で定められた相続人が相続します。
「自分は一人暮らしだから相続人はいない」と思っていても、 兄弟姉妹や甥・姪などが相続人になる場合があります。
遺言を考える前に、 まず自分の法定相続人が誰なのかを確認します。
子どもがいない場合、誰が相続人になる?
配偶者がいる場合、 配偶者は常に相続人になります。
配偶者以外については、 次の順番で相続人が決まります。
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、 その子である甥・姪が代わって相続人になることがあります。
おひとり様で遺言を考えたいケース
遺言が必要ない場合もあります
財産の承継について、 法定相続どおりで問題なく、 相続人間の関係も良好で、 手続き上の大きな問題が予想されないのであれば、 必ずしも遺言が必要とは限りません。
自分の場合、 遺言がないと何が困るのかを確認してから判断します。
友人や事実婚のパートナーへ財産を残したい場合
親しい友人や事実婚のパートナーであっても、 法律上当然に相続人になるとは限りません。
そのため、 財産を残したい相手が法定相続人ではない場合には、 遺言による 「遺贈」 を検討します。
大切な人へ残したい財産がある場合には、 相続人になるかどうかを先に確認します。
財産を団体や社会へ残す「遺贈寄付」
相続人以外の団体等へ、 遺言によって財産を残す方法もあります。
例えば、 公益法人、 社会福祉法人、 学校法人、 認定NPO法人などへ 遺贈を検討するケースがあります。
ただし、 すべての団体がすべての種類の財産を受け取れるとは限りません。 特に不動産などは、 事前に受入条件を確認しておくことが重要です。
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいい?
費用を抑えやすい一方、 法律上の方式や内容に注意が必要です。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する方法もあります。
費用や準備は必要ですが、 方式面の不備を避けやすく、 原本が公証役場で保管されます。
法務局で保管された自筆証書遺言や公正証書遺言は、 自宅で保管する自筆証書遺言とは異なり、 死亡後の家庭裁判所での検認が不要です。
遺言執行者とは?
遺言を作っただけでは、 死亡後に銀行や不動産などの手続きが自動で完了するわけではありません。
遺言内容を実現するために、 必要な手続きを進める人が 遺言執行者 です。
遺言があれば、死後事務委任はいらない?
遺言と死後事務委任は、 役割が異なります。
頼れる家族がいない方では、 必要に応じて両方を組み合わせて考えます。
具体例|独身・子どもなし・兄弟姉妹がいる場合
両親はすでに亡くなっており、 兄弟2人がいるケースです。
遺言を作らずに亡くなった場合、 原則として兄弟姉妹が相続人になります。
一方で、 「長年支えてくれた友人へ一部の預貯金を残したい」 という希望がある場合には、 遺言を検討する意味があります。
また、 葬儀・納骨や自宅の片付けについては、 遺言とは別に誰へ頼むのかを考えます。
遺言を作る前に確認したいこと
- 自分の法定相続人が誰か分かっている
- 預貯金・不動産など主な財産を整理している
- 誰に何を残したいか考えている
- 法定相続とは違う希望があるか確認した
- 友人・パートナー等へ残したい財産があるか確認した
- 寄付したい団体等があるか確認した
- 不動産を誰に承継するか考えている
- 遺言執行者を誰にするか考えている
- 葬儀・納骨等の死後事務を誰に任せるか考えている
- 相続税の申告可能性がある場合は税理士への確認も検討している
おひとり様の遺言でよくある質問
Q. 独身なら必ず遺言を書いた方がいいですか?
必ずしもそうではありません。 法定相続どおりで問題がなく、 相続手続上の大きな問題も予想されない場合は、 遺言が必要ないこともあります。
Q. 兄弟姉妹には遺留分がありますか?
兄弟姉妹には遺留分はありません。 そのため、 兄弟姉妹が法定相続人となるケースでは、 遺言によって他の人へ財産を遺贈することを検討しやすい場合があります。
Q. 甥や姪にも遺留分がありますか?
ありません。 兄弟姉妹の代襲相続人である甥・姪についても、 遺留分はありません。
Q. 友人へ財産を残せますか?
遺言による遺贈を検討できます。 ただし、 財産の種類や税金、 他の相続人との関係なども確認する必要があります。
Q. 自筆証書遺言でも大丈夫ですか?
選択肢の一つです。 自筆証書遺言には法律上の方式があり、 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する方法もあります。 財産や家族関係が複雑な場合は、 公正証書遺言を検討することもあります。
Q. 遺言書に葬儀の希望を書けば十分ですか?
葬儀・納骨・住居の退去などを実際に誰が行うのかは、 遺言とは別に考えた方が分かりやすいです。 必要に応じて死後事務委任契約を検討します。
まずは「遺言がないと自分の場合どうなるか」を確認しましょう
遺言を作ること自体が目的ではありません。
自分の相続人と、自分が希望する財産の行き先が一致しているかを確認するところから始めます。