認知症になったら、
お金や契約はどうなる?
判断できる今だからこそ、
将来の「任せ先」を考えておく。
銀行・家賃・施設費・契約・任意後見。
判断能力が低下した後の備えを整理します。
認知症などにより判断能力が低下すると、 預貯金、家賃、施設費、介護サービスなどについて、 自分だけで契約や財産管理を行うことが難しくなる場合があります。 大切なのは、 判断できる今のうちに「誰に、何を任せたいか」を考えておくこと です。 任意後見は、そのための選択肢の一つです。
認知症になると、何に困る可能性がある?
認知症になったからといって、 すぐにすべてのことができなくなるわけではありません。
一方で判断能力が低下してくると、 お金や契約に関する手続きを 一人で進めることが難しくなる場合があります。
任意後見は「認知症になってから契約する制度」ではありません
任意後見制度は、 将来、自分一人で判断することが難しくなった場合に備えて、 判断能力が十分なうちに、 自分が選んだ人へ何を任せるかを決めておく制度 です。
任意後見契約は、 公証人が作成する公正証書で締結します。
そのため、 「認知症になってから考えればよい」のではなく、 自分の希望を伝え、契約内容を理解できる段階で 検討することが大切です。
任意後見契約を結んだら、すぐに財産管理が始まる?
いいえ。
任意後見契約を結んだだけでは、 任意後見人としての仕事はまだ始まりません。
任意後見で頼めることは?
任意後見人は、 契約で定められた代理権の範囲で、 本人に代わって法律行為を行います。
実際にできることは、 任意後見契約で定めた代理権の範囲によって異なります。
元気な今のお金の管理と、将来の任意後見は別に考える
ここは特に大切なポイントです。
任意後見は、 判断能力が低下した後に効力が生じる仕組みです。
そのため、 判断能力は十分あるものの、 高齢や入院などにより 「銀行や支払いの手続きが大変」という段階では、 任意後見だけでは対応できない場面があります。
具体例|頼れる家族がいない一人暮らしの場合
日常生活は問題なく送れていますが、 将来、認知症になったときに 銀行や施設との契約を誰が行うのか不安を感じているケースです。
この段階であれば、 自分で相手を選び、 将来任せたい内容を考えることができます。
一方で、 「任意後見だけ準備すればすべて解決する」 わけではありません。
元気な間の見守りや財産管理、 亡くなった後の死後事務や遺言など、 必要に応じて別の備えも整理します。
元気な今に確認したい8項目
- 預貯金や不動産などの財産を把握している
- 毎月の収入・支出を把握している
- 判断能力が低下した後に頼みたい人を考えている
- 家賃・施設費・公共料金の支払い方法を整理している
- 介護や施設について希望を考えている
- 自宅を将来どうするか考えている
- 元気な間の財産管理が必要か確認している
- 亡くなった後の手続きや財産の行き先も考えている
任意後見が必要ない場合もあります
すべての方が任意後見契約を結ぶ必要があるわけではありません。
家族や周囲の支援、公的な制度などで 必要な支援が確保できる場合もあります。
また、 本人の判断能力がすでに大きく低下しており、 任意後見契約を新しく結ぶことが難しい場合には、 法定後見制度の検討が必要になることがあります。
今の判断能力、 家族関係、 財産、 住まい、 必要な支援によって、 適した方法は変わります。
施設に入ることになったら?
認知症や身体状況の変化により、 自宅での生活を続けることが難しくなる場合があります。
そのとき次に問題になるのが、 施設との契約、身元保証、緊急連絡先、 自宅をどうするのか という点です。
次の「④ 施設に入ることになったら?」で詳しく整理します。
認知症・任意後見でよくある質問
Q. 任意後見は認知症になってから契約できますか?
任意後見契約は、 本人が契約内容を理解し意思表示できる段階で 将来に備えて結ぶ制度です。 判断能力がすでに大きく低下している場合には、 任意後見契約ではなく法定後見制度を検討することがあります。
Q. 契約した日から任意後見人が銀行を管理しますか?
いいえ。 任意後見契約は、 本人の判断能力が不十分になり、 家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときに効力が生じます。
Q. 任意後見人は誰でも選べますか?
法律上の欠格事由に当たらない限り、 本人が信頼できる人を任意後見受任者として選ぶことができます。 親族や知人だけでなく、専門職や法人を選ぶ場合もあります。
Q. 任意後見人が介護そのものもしてくれますか?
任意後見人の中心的な役割は、 契約で与えられた代理権に基づく財産管理や契約などです。 掃除、買い物、身体介護などの実際の生活支援そのものとは区別して考える必要があります。
判断できる今だから、将来のことを決められます
すべての制度を利用する必要はありません。
まずは「誰に、何を任せたいか」を整理するところから始めましょう。
裁判所「任意後見監督人選任」
厚生労働省「成年後見はやわかり|任意後見制度とは」
日本公証人連合会「任意後見契約」